第815回
日本とアメリカはこんなに違います

いま日本のおかれた立場は
石油ショック前のアメリカに似ています。
コスト・インフレに悩むアメリカでは、
自分らで物づくりを続けるべきか、
それとも安い輸入品をOEMで売るべきか、
多くのメーカーが悩みました。
アメリカでは日本のような物づくりの伝統がなく、
メーカーも金儲けの工程の1つと
考える人が多かったのでしょう。
外国でつくらせた方が安いことがわかると、
そのことで相手と競争するよりも、
そうした海外メーカーを傘下に入れて、
その品質や企画に最初から関与して、
その製品を売るディーラーに変身することを
さほど躊躇しませんでした。

そのおかげで、IT以外のローテクの業種では、
アメリカは海外でできる安価な製品を輸入するようになり、
そのために貿易赤字はふえましたが、
日本のように過剰生産に悩まされる心配はなくなりました。
その代わりよその国に支払ったドルを
またアメリカにおびきよせて、
お金でお金を儲けさせるプロセスで
利ザヤを稼ぐことによって
海外への支払いをやってきました。
ドルが高値に継続され、
アメリカの株の高値が継続できているあいだは
アラが目立ちませんが、
それが逆転するような破目におちいったら、
大へんなことになります。

日本は物づくりによって身を立てた国ですから、
物づくりが順調に推移した間は問題が起りませんでしたが、
物づくりそのものが採算に合わなくなると、
アメリカのメーカーと同じことが
日本のメーカーの身辺にも起ってきます。
しかし、日本のメーカーはアメリカのメーカーと違って
物づくりにこだわりますから、
生産をやめてあっさり
ディーラーに変身する気にならないでしょう。
恐らく最後の最後まで物づくりに固執することになります。
そこが日本とアメリカのメーカーの
最も違ったところだと私は見ています。

とうぜんのことながら、日本とアメリカとでは
中国とのかかわりに大きな違いが出てきます。
中国でハンバーガーやコカ・コーラを売るのと、
自動車や家電をつくって売る立場の違いが
はっきりと出てくるのです。


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2002年6月3日(月)

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