第741回
深 は中国工業化のトップランナーです
上海から深 への飛行便は
最後までなかなか決まりませんでした。
一度きまった便が高官が乗るとかでキャンセルされ、
最後にFM(上海航空)に変更され、
私は自分のチケットを2回も書きなおしてもらって
やっと深 にとぶことができました。
深 は1980年に4つの経済特区の1つに指定された時は
まだ人口3万人の貧しい農村でした。
それがすぐ隣接する
香港と並ぶ人口700万人の大都市になったのですから、
中国の工業化が如何に急速に進んでいるかわかります。
なかでも深 はそのトップを走っており、
外貨稼ぎのチャンピオンでもあります。
深 ではリコーの複写機の工場と
マウスの生産工場である台湾の昆盈電脳製品有限公司の
東莞工場を見学に行き、3日目、香港に発つ朝は
華為技術というインターネットの高速技術を持ち、
いまIBMをはじめ世界中の同業者30数社から
提携を申し込まれている
中国を代表する通信機工場の見学に行ってきました。
華鶏は以前にも1回見学に来たことがありますが、
軍の通信兵だった人が独立してはじめた工場で、
全株が董事長(チェアマン)を中心に
社員を株主にして成り立っています。
しかも董事長は表立つことを嫌う人らしく、
会社のパンフレットに
名前も本人の写真も記載されていません。
代わりに納品額が億元単位で記載されていて、
民間企業のトップを行く数字になっています。
リコーはたまたま私が創業者だった市村清さんと親しく、
小さな会社だった頃からのつきあいだったので、
電話をするとすぐに
工場見学のアレンジをしていただきました。
この不況の中で
キヤノンとリコーは空前の好成績をあげておりますが、
両社とも早くから大陸に進出し、
フル操業をやっているのは決して偶然ではありません。
中国室の代表をしている大庭忠良さんとはご本人が
アメリカ・リコーの代表をしている頃からの知り合いで、
その後、奇しくも中国の仕事を担任するようになり、
これも不思議な縁ですねと笑いあったことがあります。
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