第714回
不動産のブームは当分期待できません

バブルのあったところには、
どこにもビルの残骸が残っています。
久しぶりに行ったバンコクにも
あちこちに高層ビルが立っていますが、
夜見ると電灯もついておりません。
なかには途中まで建ったまま、
何年もほったらかしになっているものもあります。
「もう持主が3回も変わったのに、
 一向に進展がありません」
「マンションは出来上がったのを買わないと駄目ですね。
 先物を買って40%払い込んだまま
 ストップしてしまいました」
と愚痴をこぼしていた人もありました。

不動産ブームは産業界にブームが起った時に起ります。
ブームでお金を儲けた人が不動産を買うからです。
工業化によるブームが一番長続きしたのが日本でしたから、
日本の不動産ブームが一番長く続きました。
コストを安くするために、
日本や台湾や韓国の工場が東南アジアに移動し始めると、
設備投資がはじまっただけで、
それぞれの国の首都に不動産ブームが起りました。
バンコクも例外ではありません。

ブームが一巡すると、
もともと実需を伴ったものではありませんから、
空室だらけになってしまいました。
資金のショートをした開発会社は倒産し、
それを買い込んだ投資家も
値下がりで思わぬ損害を受けました。
ではこれから景気が恢復したら、
また不動産の値段は戻るのでしょうか。

もし付加価値を生む工業生産が恢復すれば、
あるいはということがないとは言えません。
でも世界的に工業的な過剰生産が起っていますから、
物価は下がり気味で生産がフル生産に戻れるのは
ごく限られた業種の
限られた工場だけになってしまうでしょう。
不動産を建てた人は、
金主が変わる度に古い金主が損を出し、
最終的にはデフレ時代にふさわしい値段まで下げて
漸くバランスがとれるようになると見た方が
いいと思います。
世界中がデフレの影響で、経済が萎縮し、
その中でお金を借りないで細々と暮らしている人だけが
何とか生き延びていけるのです。


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2002年2月22日(金)

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