第705回
金儲けの神様范蠡の故地に行きます
呉越同舟という言葉があります。
呉と越とは隣り同士ですが、
仲の悪い間柄ですから同じ船に乗ったのでは
うまく行くわけがありません。
越の都はかつて紹興にあり、
前に視察団を連れて行ったことがありますが、
呉の国の都は蘇州で、
越王勾踐に滅ぼされた呉王夫差の屋敷のあったところです。
臥薪嘗胆をして夫差を滅ぼした勾踐を助けて
仇を討たせたのが范蠡です。
日本では越王の軍師として有名ですが、
中国では金儲けの神様として知られています。
呉の国を滅ぼしたあと、その功績に報いるべく
勾践は国の半分を范蠡にあげると言いましたが、
范蠡は勾踐の首の長い人相を見て
「この人は苦を共にすることはできるが、
楽を共にすることはできない。
必ず禍のもとになる」
と言って宰相の地位を退き、
絶世の美人西施を連れて隠居したのが
無錫の太湖の湖畔であったと言い伝えられています。
無錫には東急電鉄が合弁で建てた無錫大飯店があり、
私は2回泊まったことがありますが、
范蠡の邸跡蠡園に臨んだ湖浜飯店まで
わざわざ食事に行って、
宿もこちらにした方がよかったなあ、と
後悔したことがありました。
范蠡はその後、勾踐の追い討ちをおそれて
山東省の方まで一族郎党を連れて移民をし、
三度居を変えて三度とも巨万の富を築き、
貯えた財宝を惜し気もなく人に施しました。
行った先々で産業をおこし、
無いところから富を生み出す才能を持っていたんですね。
その范蠡の故地で1泊してから上海に出ます。
私は何回もこのコースを辿っていますが、
親しい友人から
是非スケジュールを組んで行ってくださいと頼まれたので、
今回は中国きっての美食街道を通ることにしました。
美食街道と言っても、
いまは南京から上海までの街道筋は一大工業団地になって
工場が続々と出来ています。
工場見学もかねて、上海周辺を一周するいい機会です。
ご希望の方は邱永漢アジア交流センターに
申し込んで下さい。
4月13日から21日までの7泊8日の中国視察旅行です。
TEL:03-3400-9393
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