第671回
デザイナーには必ず黒子がいます

日本にも世界に通用するようなファッション・デザイナーが
何人かいます。
大抵は若い時に単身、ヨーロッパに出かけて行って、
フランスやイタリアの有名デザイナーについて修行をし、
その才能を認められて頭角を現した人たちです。

デザイナーは美的感覚にすぐれていて、
その方面の才覚がありますが、
そういう人が経営の手腕にめぐまれているとは限りません。
それどころか「天はニ物をあたえず」というように、
美的感覚のある人は財務の能力がないのがむしろ普通です。
そういう人が事業的に成功したとすれば、
それはそのかげに経営能力のある人がいるからで、
そういう人たちは人形浄瑠璃の黒子のように
正体を現すことはありません。

では人形と黒子とどちらがうわ手かということになると、
どちらがどちらとも言えません。
最近、あのデザイナーは精彩がなくなったなあと
多くのファンが感ずるとします。
デザイナーその人の才能に疲れが出て
低迷している場合もあれば、
実は黒子をつとめていた人が死んだり、職を離れて、
うまくデザイナーの才能が生かせなくなった場合も
あります。
要するに、芸を持った人と、芸を持った人の才能を
うまく引き出して事業に生かす人とのコンビが大切で、
その呼吸がうまく合わなくなると、
ファッション商売はたちまち衰えてしまうものなのです。

そうした組合わせは
何もファッション業界に限ったことではありません。
専門技術を売り物にしている業界では
どこでも同じようなことが起ります。
たとえ専門知識を持ってスタートした人でも
経営的才能を発揮できるようになると、
専門知識から遠ざかるようになります。
従ってチームの組み方が大切で、
良きパートナーを見つけることと、
自分の能力の限界を自覚することが大切です。
専門知識を持って海外進出をする人ほど
チームの組み方を間違えてないことが大切です。


←前回記事へ

2002年1月10日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ