第623回
中国のWTO加盟からアジアの時代が

WTOの閣僚会議がカタールでひらかれ、
去る10日に中国の加盟が、
1日遅れて台湾の加盟が正式に承認されました。
オリンピックの北京開催が決まったのに続いて、
WTO加盟ですから、
地球村の仲間に入れてもらった意味で、
中国あげてお祭り気分になっているところです。

何しろWTO加盟に動いたのが
1986年で、15年かけて漸く念願がかなったのですから、
喜びも一しおです。
しかし、加盟によって、
いままで国内産業を保護するために設けていた
さまざまな規制を緩和しなければならなくなり、
関税くらいしか歯止めが効かなくなった上に、
その関税も期限を切って
引き下げることになっていますから、
自動車から農産物まで、
中国の受ける打撃はかなり大きいだろうと言われています。
それは1日遅れて加盟した台湾にも言えることで、
台湾の場合は中国本土に比べると工業先進国だから、
むしろ中国大陸の安価な農作物が
洪水のように流入することを心配しているようです。

しかし「生むは案ずるより安し」と言うように、
実際に困難にぶつかって見なければ、
それを乗り越える知恵は出て来ません。
それを乗り越えることによって
人間も経済も成長するものです。
恐らくあれも駄目、これも駄目と言っていた制約が
2010年までには1つずつはずされて、
外国企業も中国で営業できるようになるでしょうが、
それ以上に
中国が欧米や日本の工業技術や経営理念を取り入れて、
それと互角かそれ以上の水準に達することは
そんなに将来のことではないでしょう。

テロをきっかけに、
アメリカと中国が急速に接近することになれば、
アメリカ資本主義の最有力の相続人は
中国人であるということが
天下公認の事実になることが考えられます。
あと10年か15年たって、情報化時代が
ほぼ一巡してバイオの時代に移り、
更にエネルギーを石油に頼ることから脱却するようになれば
世界の中核はアメリカから中国に移ることは
間違いありません。
時を同じくして、情報化からバイオ経済の時代に移れば、
21世紀の姿がかなりはっきり見えてきます。


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2001年11月23日(金)

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