第576回
上手なお金の使い方を工夫して下さい

もう一つ、不景気になって収入の道が不安定になると、
誰でも財布の紐をグッと締めてかかります。
出ていくお金が出て行かなくなると、
財布の中に残っていることは確かです。
使わないお金でも、手元にあるのとないのとでは
心理的に大きな違いがあります。

でもみなが使う積りだったお金を一せいに使わなくなると、
お金がうまくまわらなくなって物が売れなくなりますから、
ただでさえ景気が悪くなっているのが一そう悪くなります。
政府が公共事業に予算を追加して代わりにお金を使っても、
デパートやスーパーの売り上げが
ふえるわけではありませんから、
景気恢復のきっかけにはなりません。
もう10年も同じことをくりかえしても
効果がなかったのに、
政府や学者の人たちはまだそれに気づいていないようです。

物が売れるようにするためには
一人一人がお金を使うように仕向けなければなりません。
その一人一人が
逆に財布の紐を一せいに締めてかかったのでは
全くの逆効果です。
赤字を減らすために政府が増税をしようものなら、
その逆効果に更に拍車がかかってしまいます。
と言って要らない物を買うために
無理矢理お金を使わせようとしても、
それもできない相談です。

結局、お金を何に使おうが
お金を持っている人の勝手だけれど、
お金を使うように仕向けることが大切です。
お金が一つところに滞留することなく、
スムーズにまわるようにすれば、
流れの岸は息を吹き返します。
物を買わなくなった人でも、食事はするでしょう。
旅行にも行くでしょう。
人々がお金をおとすところに新しい産業が生まれます。
現にこの10年でお金の流れは
すっかり岸を変えてしまいました。

ですから財布の紐を締めることばかり考えないで下さい。
その点は若い人の方がわかりが早いようです。
自己防衛ばかりで次の時代を生きて行けないのです。
どうか一人一人がお金の上手な使い方を工夫して下さい。


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2001年10月7日(日)

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