第521回
作物に適した土地に行ってやるのが農業
農業は土地がないとできない仕事ですから、
どうしても土地にしばられてしまいます。
どこかに農地があって、そこで農業をしている人は
よその土地から動くことなど思いも及ばないことです。
人間は動物なのに、
農業に従事すると植物になってしまうのです。
よその国から輸入されてくる安い農作物に
必死になって抵抗するのは
自分たちが身動きできない状態に
おちいっている人たちです。
ところが、どこからでも輸入できるということは、
そういう作物をつくるに有利なところが
ほかにあるということです。
労働力が安いために有利というのもあれば、
気候風土が作物の生長に適している場合もあります。
どちらにしても、これだけグローバル化がすすめば、
農業をやる発想を大きく転換する必要があります。。
たとえば、自分の土地が鹿児島にある人は
鹿児島で農業をやるよりほかありません。
青森にある人は青森の気候風土にあった
農作物をつくるよりほかありません。
どうしても土地を中心として
物を考えるよりほかありません。
ところが、作物を中心として物を考えるようになると、
先ず消費者が何を求めているかからスタートし、
そういう作物をつくるのには
どこが適当かを考え、それに適した地域に行って
農業をやればいいのです。
自分で畑から耕さなければならないということは
ありません。
現地の人を指導して栽培の仕方を教えて、
契約してつくってもらった作物を
一手に引き受けて販売したり、
更に加工しても、農業経営に変わりはありません。
それも国内だけでなく、
一足跳びに舞台は海外に移っています。
セーフ・ガードの対象になっている長葱や生椎茸を
現地で指導しているのはすべて日本人です。
ただ面白いことにそいう新しい農業に従事しているのは
昔から農業に従事している人たちではありません。
農業にも選手交替が起っているのです。
誰か新しいチャンピオンを志す人はいないものでしょうか。
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