第346回
戦国時代は地方から攻め上がります
産業界の地図が大きく変わるのは、
産業構造に異変の起る時だけです。
昭和30年代に1ぺんそういうことがありましたが、
いまちょうどそういう時期にさしかかっています。
大きなデパートやスーパーが倒産したり、
銀行が次々と人手に渡ったりするのは、
昔からの経営では成り立たない時代が来ているからです。
とりわけ銀行の倒産は
莫大な不良債権を抱え込んだからですが、
倒産していなくともお金を借りた大企業が
大赤字になって借金が返せなくなっているからです。
1社や2社の話ではありません。
業界を代表するような大企業が
ピンチにおちいるということは、
その下請けや取引先にあたる中小企業が
そのとばっちりを受けて、
もっと困っているということです。
日本国中の大半の企業がこれまでのやり方では
やって行けなくなっているということです。
こういう時代は、大半の経営者が頭を抱えてしまいますが、
全部が全部駄目になってしまうということではありません。
戦国時代になると、
上の抑えがきかなくなって群雄割拠するように、
隙間を狙って新しい企業が次々と頭角を現わしてきます。
それらの新興企業の出現のしかたにも
さきに述べたような法則通りが働きます。
たとえば、いまをときめくユニクロは
山口県の小郡というところからスタートしています。
いまでも本社は山口市にあります。
またデフレのさなかで最も話題になっている
100円ショップ大創は
広島県の東広島というところに本社があり、
東京はもとより全国的に店舗展開をしています。
全国で通信販売1位のセシールは本社が高松市にあるし、
2位のベルーナは上尾市にあります。
しまむらは大宮市に本拠地があるし、
ドン・キホーテは江戸川区の北葛西というところに
本店があります。
新しい商売を銀座とか青山からはじめる人はいないし、
またそれでは成功できません。
産業界の新しいスキマを狙って商売を成功させるのに
渋谷からスタートしているのは
ITのソフト・ビジネスくらいなものでしょう。
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