第297回
終着駅ですか、それとも始発駅ですか
ことしの新年は香港で迎えます。
毎年、新暦の正月は日本にいないように、
また旧暦の正月は台湾、香港、中国にいないようにして、
お年玉の節約を心がけています。
日本の正月はまだいいけれど、
香港ではお年玉は子供の1人1人から使用人まで、
しかも独身だと40才になっても
まだ子供に勘定されますから、
大人はお年玉を入れた紅包(ホンパオ)を
それこそハンドバック一杯に詰めて
持ち歩かなければなりません。
またお正月になると、
どこの家でもふだん世話になっている人のところへ
挨拶廻りに出かけます。
若い時も人の家に出かけるのはわずらわしいことでしたが、
年をとって人が挨拶に来るようになると、
もっとずっとわずらわしいことがわかりました。
挨拶に行くのはこちらが時間を選んで行きますが、
挨拶に来られるのは時間を選ばずに押しかけられます。
早朝から来る人もあれば、
夜半になってから来る人もあります。
元旦に来る人もあれば、
松の内が明けてから来る人もあります。
その度にお酒の相手をしていたのでは
こちらがもたなくなってしまいます。
だんだんそういうことがわかってしまったので、
正月は家を離れてホテルに行って泊ったり、
外国へ行って来客を避ける人が多くなりました。
正月が旅行会社のかき入れ時になってから
もうかなり長い歳月がたっています。
私と家内はここのところずっと
香港で正月を迎えていますが、
餅や数の子まで東京から持って来て、
ちゃんとお屠蘇とお雑煮で日本式の元旦を迎えています。
でもことしは私にとって特別のお正月です。
ことしの誕生日がくると私は77才になるからです。
私の書いた「私は77才で死にたい」を
お読みいただいている方ならご存じの通り、
ことしで私は自分の決めた人生の
終着駅に着いてしまうのです。
死んでしまえば、お見事ということになるのですが、
死なないとすると、ここは始発駅なのでしょうか。
誰かいい智恵があったら、教えて下さいませんか。
|