第259回
スーパーに代わる新商売が出現する

スーパーが初心を忘れて
デパートのような商売をやるようになったから
駄目なんだというのなら、
もとの安売屋さんに戻ればよいかというと、
それができないんです。
一度レベルを上げると、貧乏生活に戻れないのと同じです。

バブルがはじけて空前の大不況になった時、
中内功さんは価格破壊をスローガンに物価を半分にすると
豪語したことがあります。
私はそれをきいて
「スーパーの安売りは自業自得になる。
 恐らく売値が半分になる前に
 会社の方がおかしくなりますよ」
と雑誌に書いたことがあります。
2年もすると、中内さんは自分の失敗を認めて、
安売りからの撤退を宣言しました。
大きな企業体が安売りを先導すると、
物が売れれば売れるほど利益が下がり、
自分自身を維持して行くことができなくなるからです。

結局、スーパーは便利さで勝負するコンビニに客をとられ、
更に続々と現われるムードのある安売り専門店に
あとの客をもぎとられて身が細ってしまいます。
それでも一定のお客はありますから、
同業者同志で客のとり合いをすることになり、
優勝劣敗の淘汰が行われることになります。
何十年も減収減益になったことのないイトーヨーカ堂でさえ
その影響を受けざるを得なくなったのですから、
世の中を支配する風の向きが変わったと
言わざるを得ません。

昨今、デパートやスーパーにとって代わる
新しい商売を工夫して、
その領域を犯しはじまた若手の創業者は、
ちょうど40年前にそうであったように、
年齢的にも40才から50才の間で、
その発想には従来の常識を打ち破るものがあります。
同じ人が40年たって頭を切り変えて、
もう一度、スタート・ラインに立つことは
あり得ないことなんです。
私も含めてそういうことが言えますが、
若い人が就職先を選んだり、仕事選ぶ場合も、
そういうことを考慮に入れる必要がありますね。


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