第247回
100円ショップは娯楽産業です

デパートもスーパーも元気がないけれど、
それに代わって元気いっぱいの企業も
結構たくさんあります。
それぞれ違う分野で、
それぞれ違う商売のやり方もしているけれど、
ちょっと店内を一巡しただけで、
なぜこれらのお店が繁盛しているのか、
その理由がわかってしまいます。

たとえば、100円ショップというのが
いまよくハヤっていますね。
私の台北の秘書の1人が東京へやってきて、
「日本には台北のような夜店がないから、
 100円ストアがハヤっているのですか」
と私に質問したので、
「実際に店を見に行ってから質問をしてちょうだい」
と突き放したら、現場を見て帰ってきて
「全然、違うものでした。
 あれならハヤって当たり前ですね」
と頭をかいていました。
「何でも100円」というのは
安売り屋の一種であることに間違いありませんが、
安かろう悪かろうという商法ではないんですね。
ダイソーの100円ショップは商品が4万アイテムもあって、
お客に飽きられないために、
月に700も新商品を追加しているそうです。
1人のお客で平均600円の買い物をするとききましたが、
うちのかみさんなんか、
あれもこれもと一度に3千円も買って帰ってきます。
あれじゃ安い買い物をしているなんてとても言えません。

100円だから大したことないと安心させておいて、
次々と買い物籠に入れてしまうのは、
100円という買い物の楽しみを売っているんですね。
私も一ぺんやってみて
「これは100円で買うエンターテインメントですね」
と言ったら、この商売を考え出して大成功している
ダイソーの矢野博丈さんから
「おっしゃる通りです。
 アキナイですから、お客をあきさせないことが第1です」
と即座に返事がかえってきました。

1個100円の物を1ヶ月に
160億円も売るようになったダイソーですから、
デパートやスーパーに負けない大商売です。
これだけスケールが大きくなると、
1つの商品のワン・オーダーが
50万個とか100万個になります。
単品のオーダーでは
ウオールマットよりも量が多いそうです。
常識を破る安い値段で売れる秘密がわかってきます。


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