第137回 
人には使われたくない人、集まれ

昔のことを知らない人でも、
現状に不満を持つことは同じでしょう。
世の中の変わる時ほど不満はつのるものです。
見る物、きく事、
リクツに合わないことばかりだからです。

昔はそういうことが起っても、グッとこらえました。
会社を辞めても、中途退職者を採用してくれる
一流企業はなかったし、
経験があり能力があっても、独立して創業するのは
容易なことではなかったからです。
やむを得ず冷や飯を食わされてもガマンをし、
コツコツやっているうちに
上司に認められて社長にまでなった人もあります。

しかし、最近はすっかり事情が変わってしまいました。
銀行や商社でも中途退職者を採用するようになったし、
外国企業に至っては
同業者で働いている優秀な人材に狙いを定めて
高給で引き抜きをします。
すぐその日からでも使える経験者の方が
西も東もわからない初心者から訓練するよりも
すぐにも役に立つし、仕事になるからです。

一般に外国企業の方が
高い報酬をはらうというのが常識ですが、
給料は会社がくれるものではなくて、
本人が稼ぎ出すものです。
いままでの3倍の給料でも、
本人が会社のためにそれ以上のお金を稼いでくれれば
高い給料とは言えません。
外国企業はそのへんのところが徹底していますから、
能力ありと認めればどんな高い給料でも払いますが、
その代わり見込み違いであることがわかれば、
情け容赦はありません。
クビを宣告されると、警備員がやってきて、
その見ている前で机の中から私物をとり出して
ダンボール箱に詰め込み、
お払い箱になる話は、
いまでは誰でも知っていることです。

どちらがいいかというより、
これは文化の違いですね。
アメリカ式の方が能力本位だから
自分の能力に自信のある人は
外国企業に引っこ抜かれて見るのも一つの生き方です。
でも不満は解消するよりも、もっとつのるでしょう。
サラリーマンの不満は
人に使われていることから起るものだからです。




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