第110回
みんな江戸っ子になって下さい

欲しい物はいくらでもあるけれど、
買うお金がないという人はたくさんいるでしょう。
若い人はたいていそうです。
だから若い人にお金を持たせれば、
世の中、必ず景気がよくなります。

でも若い人がお金をたくさん手に入れるチャンスは
あまりありません。
スポーツ選手とかベンチャー・ビジネスで成功した人とか
例外はあるけれども、
大抵の若い人はヒマはもてあますほどあるけれども、
お金はあまりないものです。
ですから若い人はあまりお金をかけないで、
ヒマ潰しをやることのためにお金を使います。

物が不足した時代なら若い人も
物を手に入れるためにお金を使ったでしょうが、
いまは遊ぶことに夢中ですから、
物を買うのはどうしても後廻しになってしまいます。
とりわけ電話代やパソコンにあれだけお金を使ったら、
ユニクロに払うくらいしかお金は残りませんよね。

それに比べれば、年を食った人たちは
いくらかお金がありますが、
そういう人たちは
当座必要なものは大抵、間に合っているし、
洋服ダンスのの中だって、古い物を捨てなければ
新しい物が入りきれない状態ですから、
物を買う意欲を失っています。
こういう状態を成熟社会と呼ぶんだと思います。

成熟社会になると、
みんなが欲しがる新しい物以外は売れなくなります。
テレビでも自動車でも
代替需要くらいしか期待できませんが、
メーカーはすぐこわれる物をつくればよいのに、
長持ちをすることを目指してきましたから、
こういう時は本当に困ってしまうんです。

物が売れなくなると、
お金が動かなくなってしまいます。
おあしがおあしでなくなると、
景気が沈滞してしまいます。
そうならないためにはみんなが
「宵越しのお金は持たない」江戸っ子に戻る以外に
方法はないんです。
せめて東京に住んでいる人だけでも
先ず江戸っ子になってくれませんか。





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