第97回
「マイホームは一生物と思うな」
どんなマンションや家を選ぶかは
人それぞれの好みや必要性があり、
またそれぞれの予算もありますから、
私が口を出す立場にありません。
しかし、昔と違って家を買い替えるのが
そんなに難しくはなくなりましたから、
「家は一生物」と考える必要はありません。
配偶者だって一生付き合うものと
考えなくなったのですから、
家はなお更のことです。
あまり無理をしないですむ範囲内で、
当座の用に間に合い、
将来もっと大きな家に住みたくなったら、
その時はその時で考えなおせばよいのです。
家を選ぶ第1の条件は、
大きいことよりも住みやすいことが大切です。
住みやすいことのなかには、
便利で快適で使いやすいということもありますが、
勤めに出かけたり買物に出かけたりするのに
好都合というロケーションの問題もあります。
少し前までは土地が値上がりしましたので、
マンションより土地付きの一戸建てがよいと考えて
勤務先まで2時間もかかるような
郊外を選んだ人もありました。
そういう時期にも、私は財産価値と時間の節約と
どちらを優先させますか、と家を買う人に
疑問を投げかけたことがありました。
定年退職をした人なら別ですが、
働き盛りの人にとって大切なのは
時間の使い方です。
仕事場まで出かけて行くために
毎日かなりの時間を浪費するより
私なら仕事場までの時間を極力小さくします。
いまでも私は職住近接を心がけているので、
家から事務所まで10分くらいしかかかりません。
もはや土地の値上がりに
気をとられることがなくなったのですから、
新しいマイホームづくりは
仕事のしやすさを中心に考えるべきです。
コンビニエンス・ストアだって
便利さと時間の節約で勝負をしているのです。
もし自分の考え方が変わったり、
職場や社会的地位に変化が起こったら、
その時はまたその時のことです。
マイホームを持つことに反対はしませんが、
マイホームは一生物と思わないことです。
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