第93回
武士は食わねどマイホームは欲しい

日本人はよその国の人に比べると、
あまりお金のことを口にしません。
お金のことを話すのは下品なことだという
長い長い伝統があるからです。

どうしてそういう伝統ができたかというと、
サムライ階級が長く日本の国を支配してきたからです。
封建時代の日本は米本位制の時代でしたから、
藩主の収入も一年間の米の収穫で決められたし、
藩主から生活費をもらう藩士たちの禄高も
三百石とか、五百石とか、
米を基準として決められました。
禄高は身分を示すものであって、
実収入とはかなりの出入りがあり、
徳川時代に額面通りの給与にありつけたのは
全国で4つの藩しかなかったと言われています。

それでもサムライたちがガマンできたのは、
自分たちはお金のために働いているのではない、
藩のために一生懸命働いているのだという
プライドがあったからです。
大会社のサラリーマンたちとよく似ていると思いませんか。
自分たちはサラリーのために働いているのではない、
大きな仕事をするために働いているのだと
誰でも思っています。

「武士は食わねど高楊枝」というように、
サムライたちは禄高の少ないことを
口に出したりしなかったのです。
その気風が明治以降の大企業に受け継がれ、
更に戦後、日本の工業化によって社会全体に拡がると、
一方で生産した物をお金に換えなければならないのに、
もう一方でお金の話はしないという習慣が
そのまま定着したのです。

こうした矛盾はそういつまでも続くものではありません。
いまに日本人はお金の話をするようになるだろう、
自分たちの生活をよくするために、
お金をふやす工夫もしなければならにだろうし、
どうやってマイホームを手に入れたらよいか、
考えるようになるだろうと思ったのです。
その第1次ブームが来たのは昭和40年代でした。
私が他人の建てた家に住むのをやめて、
土地を買い自分の建てた家に移り住んだのは
昭和44年のことでした。





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