第56回
オールド・エコノミーに注目を
ニュー・エコノミーという言葉をご存じですか。
そもそもは
「経済には景気不景気の循環がある」
という在来の経済理論に対して、
何年たっても好景気の続いている
アメリカの最近の経済を説明する
新しい理論のことであります。
しかし、天気だっていつまでも晴天が続かないように、
景気にしても好況続きということはないでしょう。
好況が続けば、株価は天井知らずに上がりますが、
「山高ければ谷深し」のたとえ通り
大暴落のきびしさが憂慮されます。
たとえば1万1千ドル台をつけた
ニューヨーク市場の平均株価が
半分に急落するようなことが起れば、
お金を借りて株を買っている
機関投資家や個人は大きな打撃を蒙ります。
そうした打撃を避けるために
グリーンスパンさんのような政策担当者は
あまりショックのないソフト・ランディングを
心がけようとするでしょう。
それがうまく行くかどうかにいま世界中の関心が
集まっているところです。
ニュー・エコノミーがあるのなら、
当然、オールド・エコノミーがあってもよいでしょう。
ニュー・エコノミーを代表するものとして
誰でも頭に浮べるのは
インターネットや電話などの情報産業です。
アメリカの好景気を支えてきたのがこれらの産業なら、
従来からある産業は
オールド・エコノミーということになります。
ニュー・エコノミーの出現によって、
オールド・エコノミーは大分、影がうすくなりましたが、
産業界から姿を消してしまうということではありません。
いまはIT関係の成長分野が極端に買われすぎて、
逆に在来の業種が売られすぎていますが、
産業界全体に陽が当るようになれば、
この矛盾が手なおしされる段階に入ります。
既にそのきざしは株価にも少しずつ現われはじめています。
もう少ししてオールド・エコノミーに
陽が当るようになれば、皆さんのふところ具合も
少しはよくなるでしょう。
そうなれば長い間、財布の紐を締め続けてきた人たちも
お金を使う気を起しますから、
いよいよ景気恢復が本格化してきます。
もう少しの辛抱です。
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