第47回
株を守って兎を待っていてはいけません
お金の通り道はよく変わります。
ここは繁華街だと思って油断をしていると、
お金の姿が見えなくなって
火が消えたようになってしまいます。
かと思えば、知らぬ間に
新しいお金の繁華街ができあがって、
そこへ続々とお金が集まってきます。
時代によってお金の集まるところが違うのです。
ですからいつまでも定位置にいて
同じことをやっているのは
魚の通り道でないところに釣糸を垂らして
魚のひっかかってくるのを待っているようなものです。
魚のいないところで、
釣針のかかりが悪くなったことを嘆いても
仕方がないですよね。
お金儲けのうまい人というのは、
釣りの名人と同じように、
漁場が変わることを敏感に感じとって、
その変化にうまくついて行ける人のことです。
こけの一念とはいつまでも同じことに
固執している人のことではありません。
一つのことを成就させるために
あらゆる方法に挑戦して
遂に初志を貫く人のことです。
たとえば、高度成長時代に
一番値上がりをしたものは土地です。
土地の上に建てられた家とかマンションがそれに準じます。
何しろ私が東京に住むようになった頃の地価が
坪当り2万円で、
私が土地を買って家を建てた頃が20万円で、
バブルで一番値上がりした頃は
3000万円にもなったのですから。
そういう経済の成長期には6%の金利をもらうために
定期預金をする人が第一バカで、
途中で死んでしまわないで満期になってから
保険金を受領する人が第二バカでした。
反対に一番利口は銀行からお金を借りて土地を買った人、
二番目に利口な人は定期預金をおろして
土地を買った人だったでしょうね。
でもそうした時代はもうとっくにすぎてしまいました。
百姓が木を切ったら、残っていた株に
兎がとんで来てぶつかって死んだので、
その百姓さんはまた兎がぶつからないかと
いつまでも待っていたという話が
中国の古典の韓非子の中に出てきます。
いま時、土地の値上がりを夢見るのは
株を守って兎を待つ類いでしょうね。
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