ほぼ以上のような法則が働くので、倒産前に考えることと実際に倒産したり失敗したあとに、眼前に展開される視界はかなり違ったものになる。倒産前は自分がその時点で置かれている社会的地位のレベルで物を見ているから、その昔、無一文で仕事をはじめたときのことなどは忘れてしまっている。もしくはせっかく登った四階、五階、もしくは最上階から最低階までストンと落ちる恐怖におののいているから、方向感覚をすっかり失ってしまっている。財産を失うだけならまだよいが、財産を失うこととは即信用を失うことにつながると思っているから、再起は容易ではあるまい、ということだけで頭の中が一杯になってしまう。
事実、再起は容易ではないが、再起まで一定の時日を要することが、実は再起できるかできないかの分岐点になっている。人間が失敗をするのは、必ず失敗に至る原因があるものである。

(一)選んだ仕事の種類が悪い。
(二)人の使い方が悪い。
(三)放漫経営。
(四)販売政策の失敗。
(五)金繰りの失敗。
(六)家庭の不和、等々。

人によって原因は違うだろうが、仕事のうまく行っているときはそうした欠点が表面に出てこない。逆に失敗すると、「失敗すべくして失敗したのだ」と事実によって証明されるから、いやでも失敗の原因を追及させられる。得意満面のときは人の忠告など耳に入らないが、一人になれば反省させられるし、残ったわずかな友人のいうことも、いちいちもっともだと頷けるようになる。
中国の諺に、「成功毎在窮苦日、敗事多因得意事」というのがあるが、貧乏して苦しんだときに何を考えたか、またどんな手を打ったか、がやがて成功につながって行くのである。

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