第106回
結婚式の費用はムダにはならない
最近の風潮として、結婚式は年女、盛大になっています。
その半面、結婚式を省略する人もあります。
結婚式の費用を新婚旅行にまわすとか、
新しい生活のためにお金を倹約するとかいうのが、
その理由でしょうが、それは、
結婚式をどういうものとしてとらえるかによって異なった解釈が生まれます。
自分たち二人だけのこととしてとらえるならば、
会費制にしてもかまわないし、二人だけで教会で式を挙げ、
披露宴はいっさいやらなくともいいし、
いっそのこと何もやらなくても差しつかえありません。
しかし、結婚式には、親が子どもを手塩にかけて育ててきて、
やっと一人まえになりましたといって
披露をする儀式という面もあるし、
また、結婚したことを他人に認めてもらうことによって、
お互いに縛り合うという意味も含まれています。
たとえば、百人の人たちに「私たちは結婚します」と宣言しておいて、
そのつぎに会ったときにはもう別れていたというのでは
みっともないから簡単に別れないという意味もあります。
いまの花婿花嫁の親たちは、戦争中か、
戦争直後の不自由な時代に結婚をしています。
おそらく結婚披露宴などやらなかった人が多いでしょう。
ですから、子どもの披露宴をできるだけ賑やかにやろうという気持の中には、
自分たちにできなかったことを、
子どもたちに代わりにやってもらおうという願いがこめられていると思います。
私たちの場合は、香港で式を挙げたので、
当時としてはかなり盛大な結婚式でした。
ですから、親の代理結婚式ということはありませんが、
それでも、「やっと一人まえに育てあげたのだから」という気持はあります。
それに、私たちの場合は、親戚に結婚式があると、
どんな遠くからでも一族郎党が集まってきます。
娘の場合も、息子の場合も、アメリカ、カナダ、台湾、
香港、シンガポールの各地から親戚一同が集まってきました。
結婚式には、お金がかかります。
平均して三百万円以上かかると言われております。
よくしたもので、そういうときはそれに見合った御祝儀が集まってきます。
もし、御祝儀で結婚費用がまかなえないとしたら、
親のふだんのつきあいがよほど悪いんでしょうね。
少なくとも私の家では、三百万円や五百万円というお金では間に合いませんでしたが、
足が出るということはありませんでした。 |