第102回
いくら縁起をかついでも金運はつかない その1
不安や悩みや不慮の事故に対する恐れは、
人間の生活につきものです。
ですから、困ったときの神頼みといったことが起こります。
近代的な鉄筋のビルを建てるのに、
地鎮祭をやります。
自動車の運転台の上には交通安全のお守りがぶらさがっています。
インドでタクシーに乗ったときもお守りがぶらさがっていましたから、
人間の弱点はどこの国へ行っても同じだなあ、
と思ったことがあります。
人間は、とかく縁起をかつぎます。
勝負の世界に生きている人は、
政治家や相撲取りも含めて、名まえを変えたり、
家を引っ越したりします。
占いの先生の言うことを真に受けて、
家を引っ越して総理大臣になった人も日本の国にはいます。
科学万能の時代になっても、神霊を信じたり、
方角を信じたりする人がいるのは、人間の心に弱点があるからです。
私自身はあまりそうした縁起をかついだりはしません。
私の友人の中には何でも占いの先生の言うとおりにやって、
ものの見事に失敗をした人間がいます。
清朝末期の西太后も、欧米連合軍相手の戦争をするのに、
いちいち暦を見て、戦争をする日を決めました。
戦争によい日はたぶん、相手にとってもよい日だったのでしょう。
だから、戦争をするたびに負けました。
今日は大安だからよい、今日は仏滅だからダメ
ということはあまり信用できません。
大安に結婚をした人でも、夫婦仲がうまくいかなくなれば、
離婚をするものです。 |