第60回
お酒をツケで飲むような人に、お金は貯まらない
ちょっとまえまでは、
デパートでの買い物の支払いは現金がほとんどだったのが、
最近ではクレジットカードを使う人がふえています。
レストランの料金やホテルの宿泊代を支払う場合も同様で、
日本もカード社会になりつつあるようです。
支払いには、現金払いやカードのほかに、
月賦払い、手形払いなどいくつもの方法があります。
サラリーマンの中には、なじみの店でちょっと一杯というときなど、
口だけの約束手形、つまりツケで、
支払いは給料日回しにしてもらうことも多いのではないでしょうか。
このように、お金の支払い方はいろいろですが、
どういう払い方をするかによって、
その人やその企業の経営者の金銭感覚を知ることができます。
たとえば、会社によっては、支払いはいつも三カ月の手形で、
取引先が現金化を要求すると、
その手形をその場で割り引いてやっている会社もあります。
ただし、割引をしているのは、またべつの会社で、
その差額はその会社の利益になるわけです。
そういうやり方の商売をやっているところもありますが、
商売によっては、現金でやったほうがよい場合が多いと思います。
たとえば、料理屋の大将が築地の魚市場に材料を仕入れにいくのに、
よく何力月も先の手形で払ったりすることがあるんですが、
これは、利ロな方法ではありません。
魚屋にしてみれば、「お金になるのは何力月も先なのだから、
その分の利息も値段の中に入れてやれ」ということになるからです。
私自身は主義として、支払いはすべて現金でやっています。
会社をいくつか経営していますが、手形は一枚もありません。
ロールスロイスのような何千万円もする車を買うときでも、
一時払いで全部払ってしまいます。
私の場合は、投資と消費をはっきり分けて、
投資の場合は借金で賄いますが、消費はいっさい現金払いです。
なぜ現金のほうがいいのかというと、
第一に、やはり値段の問題。
食料品などマージンの少ない商品でも、
現金で払うと何パーセントか割り引いてくれます。
もうーつは、自分自身の問題で、支払いを滞らせるクセがつくと、
お金に対してだらしなくなってしまう。
それに、未払い分がたまって、
いつの間にか支払いできないほどの額になることだって考えられます。
そうなると、その人の信用問題にまで発展してしまいます。
仲間と酒を飲むようなときでも、ツケにはしないで、
一回一回現金で払うくらいの心がけが必要だと思います。 |