第18回
給料が安いからといって貯金ができないというのはウソ
「おれは、いまは給料が安いから貯金できないけれど、
手取りが二十万円ぐらいになったら、
毎月、二万円は貯金できると思う」―
こんなことを言う人は、かりに給料が三十万円になっても、
貯金なんかできっこありません。
まえにもお話ししましたが、お金を貯めるというのは、
余ったお金を貯金することではなくて、
貯金を優先させることだからです。
つまり、貯金ができるかどうかは、
収入の多寡とはまったく関係がないと考えていいでしょう。
実際、給料が十三万五千円の人でも、
十万円しか使わなければ、
三万五千円は貯金にまわすことができます。
また、二十万円もらっている人でも、
ギリギリまで使ってしまえば、一銭も貯金はできないわけです。
これは、小学生にもわかる算数の問題みたいなものですが、
貯金の話になると、みなさん、ぜんぜんわかっていないのです。
お金をあればあるだけ使ってしまうのは、
概して経済観念のない人と言えますが、
いちがいにそうも言えないところがあります。
とくにサラリーマンの場合は、優先位のつけ方といいますか、
価値観の違いがものをいってきます。
定年まで会社に勤めて、死にもの狂いでお金を貯めても、
五千万円貯めるのは、たいへんなことだと思います。
若いうちは、一千万円ときいただけでも、
気の遠くなるような数字でしょう。
これは、日本の経済システムとも大いに関係があります。
日本人は経済単位を念頭に置いて、
個人を中心には考えない。
いまのシステムでは、会社が儲けた金は
会社が貯めて、個人には、生活できる程度の金しかくれない。
そのかわり、定年まで会社はいろいろ面倒みてくれるわけです。
これは日本独特のシステムと言っていいでしょう。
欧米をはじめ外国では、たいてい個人が経済単位になっている。
つまり、会社が儲かったら、その金は株主のものだからと、
気前良く配当してしまう。
だから、会社はいつもお金がなくてピーピーしているし、
当然のことながら、会社が個人の面倒なんかみないんです。
個人のほうも、もっと会社が面倒をみてくれればなんて考えたりしません。
どっちがいいかはむずかしい問題ですけれど、
日本のサラリーマンは、欧米にくらべて
会社に依存する度合いが高いことは事実なんです。
だから、一千万円貯めるのも容易なことじゃないし、
どうせ貯まらなくても、そんなに心配はない。
それだったら、そのぶん、
何か自分の身につくものに使っちゃえということになってきます。
中には、旅行をしたり、うまいものを食ったりする人もいますが、
技術とか知識とかを身につけるために、
お金を使う人も多いんですね。
それが結果として、自分の仕事の役に立つことがあるし、
会社を儲けさせることにもつながっていく可能性もあります。
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