お金の貯まる人はここが違う

お金との"付き合い方"指南

第8回
賢者は中金持ちをめざす

ひと口にお金を貯めるといっても、
ただ漫然とお金を貯めようと思っているだけでは貯まらないものです。
何のためにお金を貯めるかという目的意識がないと、
欲望を排除して、このお金を残しておこうという気持になれません。
目的は時代によって違うし、
また、その人の生まれ育った環境によっても違ってきます。
たとえば、親から譲られた立派な家があれば、
家を買うために貯蓄をする必要はないわけです。
逆に、親から家をもらえるあてのない人は、
自分で家を買うしかないわけですから、
ある時期から、家を買うための頭金をつくるんだと、
お金を貯め始めることになります。

そのほか、老後に備える人もいるし、
子どもの将来の学費のためとか、
あるいは、サラリーマンをやめて独立するときの開業資金をつくるとか、
人それぞれの目標があると思います。
中には「私の人生唯一の楽しみは旅行することだから」
と海外旅行のために、
しじゅう貯金をする人もいるそうですが、
これは、まあ小づかいの延長と老えてよいでしょう。

貯まったらすぐ使ってしまうし、
いまどき短期間の海外旅行くらいなら、
わざわざ苦労してお金を貯めなくても行けます。
目的を決めたら、つぎは、そのためにはいくら必要か、
具体的な額を決めることです。
このときだいじなのは、最初から”高望み”をしないことです。
自分の収入を度外視して、たとえば「家を買う頭金が五百万円必要だから、
五百万円を目標に」で
途中で挫折するおそれもあるんです。
私はつねづね「愚者は大富豪を夢見、賢者は中金持ちをめざす」
と言っていますこれは、実際問題として、
実現不可能な目標をかかげてもしょうがないという意味です。
お金とは関係ないけれども、社会党がそうでしょう。
夢物語みたいなことばっかり言っているから、
いつまでたっても万年野党に甘んじてしまうんです。

むかし、小林一三さんが秘書の清水雅さんを連れてアメリカに行ったとき、
ニュヨークでメーシー百貨店の前を通ったら、
車からパッと降りて、こう言ったそうです。
「こういうのがほんとうの経営者なんだ。
この建物を見ると、第一期工事、第二期、第三期工事と
だんだん広げていったのがわかる。
誰だって、最初から大きな店はできないんだ」
これを聞いて清水さんは、
「なんだ、社長は自分のことを言っている」と思っておかしくなったそうです。
阪急百貨店も、はじめは小さくて、
隣りへ、隣りへと広げていったんですね。
ダイエーにしてもイトーヨーカ堂にしても、
最初は何十坪と規模でしかなかった。
それをすこしずつ大きくしていったわけでしょう。
私も、人から何か相談を受けたとき、
できそうもないことは強いないんです。
自分が、もしその人の立場にいたらできるだろうと思う範囲内で、
その人がやるべきことをやっていないときは文句を言うけれども、
高邁な理想を実現しろなどということは言いません。





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2015年8月26日(水)

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