前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第299回
日本からの臭いおみやげ

ノキアで働いていた妻は、
時々日本のお菓子などを仕事場からもらってきました。
携帯電話のキーボードを作る会社など、
日本の下請け会社が訪問すると必ずお土産を持ってきたようです。
デンマークではそういう習慣はないので、
会社の人たちは面白がっていましたが、
ありがた迷惑なお土産が多いのでした。

そういうわけで、日本からデンマーク・ノキアにお客が来た時は
すぐ分かったのでした。
お土産には、饅頭など餡の入ったものや、扇子などがありました。
せっかくのお土産も、
こういったものはあまり人気がなかったようで、
ノキアの仕事仲間がこちらに回してくれるのでした。
では、何が気に入ったかと言われても、
妻は仕事場で「これは良い」と喜んでいる姿を
見たことがないそうです。
実は、気に入った品物は自分達で食べたり、
そっと家に持って帰っていた、ということかもしれません。

お土産を開けると、横を通る人が
「魚の臭いがする」と眉をしかめるので、
何かと思えば海苔の臭いだったそうです。
そういうわけで、嬉しいことに、
私の好きな海苔の付いたせんべいはこちらに廻ってきました。
海苔と魚の臭いの区別がつかないのですね。
そういう私も小学生の頃、東京のドブの臭いをかいで
”こんなところで磯の臭いがする?”と思ったのだから
人のことは言えません。
今でも、磯の香りとは「藻類の腐った良い香りだ」と、
私は思っています。

そういえばこちらの魚屋は毎日仕入れをしないせいか、
前を通ると非常に魚臭いです。
値段も肉より大分高いし、新鮮でないものも売っているので、
デンマーク人に魚嫌いが多いのも仕方ありません。
大晦日の夜に鱈を食べる習慣が、
今でも残っているのが不思議なくらいです。
お寿司を食べる人が多くなったのはもっと不思議です。


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2005年9月7日(水)

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