第290回
図書館なら行ってもよろしい
デンマークは本代がかかる国です。
発行部数が少ないから高いのです。
日本人は1億人以上いるのでまあまあなのでしょうが、
同じ言語の人口が少ないと、出版は大変なのです。
そこで、デンマークは図書館が日常に使われます。
図書館の数は充実しています。
デンマークの作家も、図書館に買い上げてもらうと
普通に売るよりもお金が余計に貰えるので助かっています。
この頃、この図書館に、
黒い布を被った女性の数が目立ってきました。
原理主義に近いほうの回教徒は、
外に出る時は必ず身内の男性のお供がいります。
女性は1人で出歩いてはいけないし、
車の運転もしてはいけないのです。
結果としてデンマークの社会に参加できず、
再教育もうまく行きませんでした。
しかし、なぜか図書館は
身内の見張り無しですごせる場所なのでした。
「回教徒の男の人は図書館を敬遠しているのです」
と、妻は言いますが、そうかもしれません。
一人で奥さんを外に出さないような保守的な男なら、
デンマークの本の並んでいる図書館には縁が無いかもしれません。
図書館ではそのうち、
本を楽しんだり本から知識を得る以上のことが
行なわれるようになりました。
デンマークでは、未だに赤ちゃんをこの世に送り出す仕事の半分は
産婆さんがしています。
図書館で、その産婆さんと話をしてアドバイスを受けたり、
仕事を捜す手伝いや、
勉強の手助けをしてもらうようになったのです。
こうして図書館は、子供の日本漫画の練習だけでなくて、
亡命者や移民の社会参加ににも貢献しています。
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