前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第265回
嘘つきケネディ

私は小学生の頃、ラジオでジョン・F・ケネディの、
「偉人伝」のような連続番組を、
聞くともなしに聞いたことがあります。
そして、ケネディ家の教育の様子に驚き、
子供心にあきれましたのです。
毎日の食事時に、あるテーマについて、
母親が子供たちに賛否のディスカッションをさせるのです。
その討論は、子供の私がちょっと想像したのとは大変違いました。
私達が小学校でやっていたような、
そのテーマを調べて、自分の意見を持ち、
その発表をする練習ではありませんでした。
兄弟で賛否両陣営に分かれて、各自決められた側の肩を持って、
自説を強弁する練習なのです。
刑事裁判の弁護士の世界を子供の世界に持ち込み、
それをいつか政治に使うという、
悪い練習をしているような印象を受けました。

こういう人が国をリードするのは、どうも、危ない感じがします。
日本を戦争に導いた東条も軍規の大家だったそうで、
自分の主張に都合のよい規約を引っ張り出してくるのが
上手だったそうです。

私達がプロバンスのムリエルの両親の家に言った時、
フランスの新聞にシラクの訪日のニュースが載っていました。
ムリエルが私の方を向いて
「”シラクは相撲が大好き”と書いてあるよ」
と言うと
ムリエルのお父さんが、
よそ見をしたままでぽつんと何か言いました。
お父さんは「あれは口がうまいから」
と、言ったのだそうです。

「聴衆の心に語りかける」
と、クリントンの演説上手に、
デンマークのメディアは普段から舌を巻いて褒めていました。
よその国を訪問して「その国を褒める」というテーマを決めたら、
その「強弁」を自然に行なう、というのも上手です。

クリントンはデンマークにこの夏にやって来て
「もし私が世界的な権力を持っていたら、
北欧のリーダー方式を世界に広めます」と、語りました。
「現実的という枠の中の理想の世界」
と、5月のファイナンシャルタイムスで、
デンマークが持ち上げられていることを使ったうまい演説でした。
企業が儲けながら社会的な義務を果たしていくと、
地域と経済に役立つ良いビジネスになる、という内容でした。

しかしケネディの事があるので、
必要とあらば、同じ題材で正反対の演説をするのではないか?
と、どうも疑ってしまいます。


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2005年7月21日(木)

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