前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第259回
ブッシュはテロのロンドンへ

G8の直前、ブッシュ大統領は自分の誕生日の前日、
7月5日にデンマークにやって来ました。
イラク派兵に強く反対している人は多くて、
ブッシュ反対のデモがあちこちでなされました。
「ブッシュの死を」というプラカードはやり過ぎで、
かえって無視されそうですが、
どのみちブッシュは目にする機会もありませんでした。
警備が厳しくて、
デンマーク国民と顔を会わせることはなかったのです。
夜に着いて一晩停まり、デンマーク女王に誕生日を祝われて、
16時間程でG8に向けて、あわただしく出国しました。
そして、ロンドンの爆弾テロのニュースが入りました。

ブッシュ一家と家族ぐるみで朝食を供にしたデンマークの首相は、
米国を支持しています。
「政府はブッシュに親切すぎる。やりすぎだ」
と、いうデンマーク人が6月の統計の時点で半数いるそうです。
ブッシュを支持するデンマーク人は20%だったそうです。
戦争に明け暮れてきた欧州は、
年寄りほど米国への感謝と期待が強く、
戦争への危惧は今でも持っているようです。
デンマークのラスムッセン首相は
「この前の戦争で米国が欧州を、デンマークを救ってくれました」
「戦争になったら助けてくれるのは米国だけです」
と述べています。
それで、米国に助けが必要な時は、サポートするのだそうです。

第二次大戦も、米国なしではどれくらい長引いて、
どういう結末を迎えたか。
ヒットラーから欧州を助けてくれたもう一つの大国ロシアは、
信用できないどころかつい最近まで危険だった。
デンマーク人に言わせるとそういうことらしいです。

サダムのイラクを攻撃したのが世界の平和の為になるのか、
回教徒のテロを本格化させるのか、本当は誰にも分りません。

と、書いたところで、今回のロンドンのテロがありまして、
とりあえずヨーロッパは物騒なことになりました。
宗教が絡んだ事態は複雑で、対応を間違うのはしかたありませんが、
程度の低い米国大統領がやりすぎては世界が困ります。
テロリストはいつの時代でもいるのでしょうが、
テロリストの支持者が増えて、
やりされやすい状態を作り出したかもしれません。
「見かけほど馬鹿でないことを願うよ」
とは、見かけと頭に自信があるらしいカストロ大統領の、
ブッシュ大統領初当選の時の、
尊大とも言える感想でしたが。

それとは別に、国際法を無視するのが米国の習慣になり、
国際法の意義が薄くなると、
長期的にはこの方が困ることかもしれません。
「政治的解決」というぐらいだから、
政治家が契約や法律を無視するはあたり前で
「以前からそうだった」とは言えますが。


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2005年7月13日(水)

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