前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第229回
ベトナムのショートカット

デンマーク人の夫婦が、
ベトナムで作業服や子供服をハノイの工場に注文して、
デンマークの会社に卸す会社をやっています。
そのほかに、コンサルタント業もしています。
こちらは、マラリア蚊よけの蚊帳を世界中に輸出する会社や、
タオルやフトンカバーを売る会社などが顧客です。

「始めの3年半は働き続けました。
身の回りを整える暇も、友人を作る暇もなかったのです」
と夫婦は語ります。
寒い朝、7時に合羽を着て長靴を履き、
原動機付き2輪でテキスタイル工場を廻りました。
日も暮れて、くたくたになって帰途につくと、
その頃のハノイは真っ暗で、寂しく、もの悲しい町でした。
ふと我に返えって”私達はなんでこんなことをやっているのか”
と、不思議な気持ちにもなりました。
「ショートカット」という会社はこういう具合に始まりました。。

ベトナムの前は、ご主人は大きな食料品会社の、
販売開発部長としてマレーシアに駐在していました。
奥さんはフリーランスで、アパレルの品質管理をしていました。

起業するにあたって、まず2人は
タイ、インドなどの生産地としての可能性を調査しました。
中国に移住することも、考えてみました。
しかし、奥さんは「中国はどうも私達には・・・」
という言い回しで、
取りやめた理由を匂わせました。
どうも相性が悪い、といったことでしょうか。

ベトナムは戦後の混乱期の中にあって、
しかも半分ロシア的になったしまった国民性だ、
と夫婦は思っていました。
では、なぜベトナムを選んだかというと、長いリサーチの結果、
ハノイは値段と品質で国際的競争力がある、と分ったからでした。

最初の1年はハノイの安ホテルを住居にしました。
初めからの顧客はひとつだけで、
とりあえず、50軒の目ぼしい工場を訪問して、
輸出を希望する5軒の会社を選びました。
同時に、同じ数のデンマークの会社を打診しました。
失敗した時のリスクを最小限に抑えるため、
初めのうちはコンサルタント業1本に絞りました。


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2005年6月1日(水)

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