第227回
映像の中の日本人・デンマーク
デンマーク大使館に登録している日本人は500人程度で、
登録していない人を入れても、1000人にはならないようです。
そこで、コペンハーゲンに住む日本人は、
映画のエキストラや写真のモデルを頼まれる機会が、
案外多いのです。
ただし、割り当てられるのは、滑稽な役回りが多いようです。
ある時映画を見ていたら、
ノーテンキな旅行者や、怪しげな教団の信徒の役で
日本人が何人も出てきました。
それが、友人、知人や、その子供達だったので、
ビックリしたことがあります。
私の友人には、
テレビの連続番組にレギュラーで登場していた人達もいます。
もちろん全員素人ですから、台詞のほとんど無い役です。
私も昔、人が足りないとかで、
撮影のアルバイトに狩り出された事があります。
しかし、髪型と髭が彼らの日本人のイメージと違うとかで、
お呼びはその1回だけでした。
デンマークで顔を知られた日本人というと、
私のソフトボールの仲間の一人で、
ブイヨンのコマーシャルに登場した男性です。
大変こっけいなコマーシャルで、評判だったらしくて、
長期間テレビに流されました。
台詞は全部日本語で、字幕が付いていました。
もう一人は、記者会見で、泣きながら頭を下げて謝罪した、
日本の倒産した会社の社長です。
こういう場面で公衆の前で泣くのが、
デンマーク人には非常に珍しかったようで、何回も登場しました。
アナウンサーもその度に、
ビックリして苦笑いするか、笑いをこらえていました。
後で、その事について解説する番組もありましたが
「日本では人前で泣くのは恥ずかしいことではないのです」
とエキスパートが説明していました。
ということは、これは恥ずかしことのようです。
社長が公衆の前で自制心を失い、
人格が崩壊して泣いたように見えたのかもしれません。
解説はそれだけで終ったので、
文化の違いを理解するには浅過ぎる番組でした。
見ていると、デンマーク人は、
自分に関係ないことでもけっこう涙を流します。
しかし、このような場面で”泣く”ということはないし、
第一、会社が潰れても謝らないので、奇異に見えたようです。
|