前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第218回
日本式民主主義は談合で

デンマーク最大の政党に外国人が多数加入して、
コペンハーゲンの市議会に代表を送り出しました。
そのやり方について
「乗っ取りではないか?」と疑問を投げかけた党員もいました。
しかし、投票して多数決で決めたのです。
民主主義の基本通りなので、
その人も結果を尊重しないわけにはいきません。

デンマークでは外国人でも地方政治に参加できて、
何が何だかよく分らなくても投票できます。
デンマーク語が話せなくても、読めなくても、
政党の党員になれます。
そこで、団体票の威力を利用して、
多分、有権者の全体を反映していない選挙結果が出ました。
それで「乗っ取りではないかいな?」の反発になったのでしょう。

自由参加の多数決では、
実際の数以上に団体票の威力があるのが欠点でしょうか。
それでも、自己主張の強い人達を民主的にまとめるためには、
多数決ぐらいしか方法がないようです。

実際に民主主義の伝統の長い国に住んでいると、
日本との違いが色々目に付きます。
日本式の民主主義では、
話し合い絶対主義で意見の統一を作り出そうとしています。
それはそれでよいとしても、
話し合いでは一致させることが出来ないことは、
いくらでもあります。
たくさんのことを話し合って決議するには時間も足りません。
しかし、日本の野党などは、
話し合って互いの主張の根拠がはっきりした後でも、
多数決を認めないように見えます。
そこで、多数決で決めると
「数の横暴」とか「民主主義に反する」とか言って非難します。
もし、多数が横暴になる傾向が強いのならば、
多数決をそのまま運用するのは不適当なのでしょう。
しかし、民主主義の地元では、
多数決は「民主主義のエッセンス」らしいのです。
多数決が「民主主義に反する」は、
デンマーク人にはおかしな非難のようです。


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2005年5月17日(火)

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