前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第213回
反日デモ・砂場遊び外交

最近のデンマークのマスメディアの見方は、
日本の過去の侵略や外交の不手際をあげた上で
「中国の現在やっていることは、
自分の都合の悪いことを棚に上げて、隣人の攻撃です」
といった意見が目立つようになりました。
「中国は、文化大革命の時に2000万人の自国民を殺したことや、
天安門事件も教科書に載せていない。
インドやベトナムに戦争を仕掛けたことも載せていない。
今度のデモも
『16年前の天安門事件以来の初めての許可』というのは
明らかにおかしい」 
といった一連の新聞の社説などです。

新聞の社説のひとつは
「中国はまだまだ舞台に上がれない」という題で、
双方の外交を批判しました。

「日本が教科書を改ざん、ではないとしても、
化粧直しをしたのは賢いこととは言えません。
中国の街にデモがあって、
日本人の持ち物が壊されるのを、中国政府はなすままにさせました。
その後で、両国の外務大臣が会合をして、
互いに相手の謝罪を要求して譲らず、
お互いに自国の謝罪を拒否しました。
この日中両国の外交は“子供の砂場遊び”の水準です。
もし、中国が本当に世界の舞台で対等の仲間になりたいなら、
こういった幼稚園なみの討論から抜け出さなければなりません。
政府が民主主義を理解し、融通性をもち、人権を尊重し、
よい隣人関係を作ることが、条件になります。
私達は幸いにも、うまく行った例も見てきています。
東西ベルリンの壁は落ち、
現在はインドとパキスタンの対立は和らいでいます」

しかし、反日デモの記事は、こういうレベルからも離れてきました。
話題は世界的な虐殺と、それを認めて陳謝することに移り、
反日デモの話は、その中のエピソードのひとつになりました。
日中問題がきっかけになって、
デンマークのマスコミは、世界のいたるところで行われた、
虐殺や無頼行為の清算に再注目しました。
「トルコはアルメニア人200万人(?)の虐殺を謝っていない」
ことや
「旧ユーゴスラビアの虐殺の清算」
が話題になっています。
「独裁国家のロシアはバルト三国に対して行ったことを謝らない」
とは元外務大臣の言葉です。
日本と中国や韓国の問題も「数ある中のひとつ」ということで、
捉えられています。

その後、デンマークの首相の
「公式にユダヤ国家に謝りたい」という談話が出て、
イスラエルは「歓迎します」と反応しました。
戦争中に、デンマーク政府が、ナチスに引き渡した事件で
「まだ謝罪していない」ということです。
民間人は自らの死の危険を犯して、
多くのユダヤ人の命を助けたのですが。


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2005年5月10日(火)

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