前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第182回
モンキークラス症候群

私達は長距離の飛行機の旅でも、いつもエコノミークラスなので、
長距離の場合はどんな人が隣の席に着くか気になります。
ほんの少し前までは、日本まで往復するとがら空きで、
しばしば席を3つ使って横になれました。
この頃は、丁度満員になるように飛行機の数を制限しているのか、
そういう楽な旅はなかなか出来ません。

ロシアの飛行機では、大きな固太りのロシア人のお客で、
自分の身体ほどもある手荷物で
通路を一杯にしている人がたくさんいました。
手荷物制限を越えているどころか、
大きすぎて足元にも上の棚にも入らないので
通路を塞いでいたのです。
こういう人は隣にきて欲しくないです。
自分の国の輸送係りが信用できないので、
安心して荷物を預けられないのかと思いました。
席に着くとすぐに靴を脱ぐ人がいます。
それは一向に構わないのですが、
この時、強烈に足が臭う人がいて近所迷惑です。
私は幸い鼻があまり利かないので、多少の臭いは平気ですが、
本人も自分の臭いは感じないのでしょうね。
余り強烈な香水も辛いですが、
幸い、時間がたつと鼻が鈍感になって
臭いはあまり感じなくなります。
眠っていて寝返りを打ったら、臭いで目が覚めたりはしますが。

隣に図々しい人か、あまり他人のことを考えない人がくると、
間の肘掛や足元の空間の奪い合いになります。
先日の飛行機で若い大男の横に座ったので、
私は“やれやれ、これで長い時間窮屈だな”と嘆きました。
しかし、彼は案外遠慮深くて、
身体が座席から溢れて、足も窮屈そうですが、
私達の間にある肘乗せを独占したりしません。
その人はオーストラリア人でしたが、
私達を日本人と確認すると勢いが出てきて、色々話かけてきました。
それはいいのですが、
輪廻がどうのこうのと言だしたので、
少し話題を外したくなりました。
自分の趣味でない話を付き合うのもくたびれます。
そこで「あなたが死んだら葬儀はどうしますか?」と訪ねました。
すると彼は意表を突かれて、少し考えてから
「宇宙に葬られたい」とロマンチックなことを言いました。
私はペットの宇宙葬をする古い映画の話を持ち出しました。
若い彼は「ラブド ワン」というその映画を知りませんでしたが、
自然に話題は他に移りました。


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2005年3月28日(月)

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