前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第181回
その気な釣り人

デンマークは今年も暖冬ですが、3月に入って寒くなりました。
しかし、室内は一定の温度になっているので、
家にいては、外がプラス10℃なのだかマイナス10℃なのだか
よく分らないです。
何気なく外に出て、薄着や厚着のしすぎしているのに気が付きます。
この1週間、運河の海水の表面が凍っています。
このあたりの海は零下10℃より下がると凍り始めます。
海水を舐めてみると、日本の海よりからくないので、
塩分が少なくて凍る温度が高い、ということがあるかも知れません。
昔は海峡の氷を渡って、
スウェーデンの軍隊が攻めて来たことがあったそうです。
暖冬の昨今では考えられませんが、
昔は北欧も随分寒い冬だったようです。
ロシアのバルチック艦隊が通っていったこの海峡で、
今は南の国のタンカーも廃油を時々漏らしながら通ります。

春にはこのスウェーデンとデンマークを分ける海峡を、
“だつ”の大群が、産卵するために通過します。
新聞に「そこまで来たぞ」と載ったら、2、3日が勝負です。
向こうにスウェーデンの見える、特に狭くなった海の岸には、
釣竿を振る場所も無いほどに釣り人が並んで、釣りに没頭します。
“だつ”は岸のすぐ傍を通ることが多いのですが、
なぜか海峡の真ん中を通る年もあります。
釣れる時は、釣るのが嫌に成る程釣れて、
1時間もしたら手では持ち帰れないほどの漁になります。
釣った魚は、その場でナイフを使って、
尖がった嘴のついた頭を切り落とすのが日本と違うようです。

その他の魚では鱈やカレイ、平目、サバなどが釣れます。
乗り合いの釣り船も安い値段で乗れるようですが、
私は小さい船は揺れて船酔いしそうで使ったことはありません。
船を持っている友達にも誘われますが、
私達は申し出を受けたことがないので、
レポートできませんが良く釣れているようです。
デンマークでは趣味の魚釣りを
「釣りたい人」というような呼び名で、プロの漁師と区別します。
最初に聞いた時は、1日糸をたらして、
何も釣れずに「釣りたい人」のイメージがおかしいと、
妻は笑いました。
私は、釣れないとつまらないので、
何も揚がらない日が続いた後で、すっかり興味を失いました。
それで「釣りたいけど釣れないから止めた釣り人?」になりました。


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2005年3月25日(金)

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