第179回
悪夢のディズニーランド
今年の3月4日の米国務省の発表では、
現在アフガニスタンは
収入の40から60%を麻薬に頼っているそうです。
そしてその麻薬の販売に北朝鮮政府が関与して、
エジプト、トルコでそれが摘発されました。
悪い商売も国際化です。
何年も前のことですが、私の日本人の友人の息子さん兄弟が、
包丁で切りつけられて大怪我をしました。
犯人は兄弟の友人で、彼はその頃麻薬患者になっていました。
私は、彼ら3人が、まだ子供だった頃に
ソフトボールを教えていたことがありますが、
皆とても良い子でした。
その事件がおきた時は、3人はすでに青年になっていました。
コックの資格を取ったばかりだった弟は、
利き腕が使えなくなるという大きな後遺症が残りました。
しかし頑張り屋の彼は、本来利き腕でない方の手を使って、
早くも事件の1年後からコックの仕事に就いています。
切りつけたデンマーク人の男の子は、
身体は大きかったけれどスポーツは苦手で、
人の後に付いて行くおとなしいタイプでした。
ソフトボールも下手で、そんなに好みでもなかったようですが、
友達と一緒にいるのが好きなようでした。
子供の頃からずっと3人は友達同士で、
大きくなってからも一緒にマンションを買って、
部屋代を分け合う仲だったのです。
彼はパリのディズニーランドに行って、麻薬を試したようです。
子供の遊び場のイメージの場所で、麻薬の売買が行われていました。
今はどうか知りませんが、その頃デンマークの若い人の間では
「フランスのディズニーランドにアルバイトに行くと、
麻薬患者になって帰ってくる」
と言われていました。
麻薬が体質的に合わなかったらしくて、パリから帰ってきてから、
その子はフラッシュバックに悩まされるようになりました。
そして、その事件の起きた頃は定期的に専門医に通っていました。
幻覚が現れたり、原因の無い恐怖感に悩まされたりしたようですが、
事件の当日も、半ば非現実の世界にいたのでしょうか?
日本人の麻薬経験者は
「麻薬は自分本位な理屈を作り出して自分で納得する」
と言っていましたが、それだったかも知れません。
兄弟達に聞くと、確信に満ちた行動だったようです。
犯人の青年は家に帰ると我に返ったようで、
問い詰める父親の前で、血だらけの服のまま、
何も言えずに激しく震えていたそうです。
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