第127回
隣のジェームス・ボンド
「ジェームス」という名は典型的なサーバントの名前らしくて、
デンマークでも忠実なジェームスはジョークに登場します。
初代ジェームス・ボンドのショーン・コネリーは、
年をとって落ち着いた雰囲気になってきました。
私達の家の隣には、そのショーン・コネリーを、
明るくお人よしにしたような顔立ちの男性が住んでいました。
つまり初代ジェームス・ボンドのデンマーク版で、
その名もボンデという姓なのでした。
アクセントが違うせいか今まで気が付きませんでしたが、
今回カタカナで書いたら、
姓もボンドそっくりなので笑ってしまいました。
Mr.ボンデはエネルギッシュに庭にジャガイモ畑を作り、
芝を刈り、夏の週末は40km離れたサマーハウスの手入れをします。
前庭に石を敷き詰め、自動車の整備をします。
勿論、花壇の手入れもして、生垣を切り、前の道路の掃除をして、
家のペンキを塗ります。
それらの仕事を、彼はいつも暇を見つけては一人でするのでした。
その上町内会の役員をして、
近所に住む奥さんの両親の手助けもしていました。
体の丈夫でない奥さんは、室内の掃除や、
子供が小さかった頃は子供の世話や、料理を受け持ちました。
隣の家とは年に何回かお互いに食事に呼び合うのですが、
このように忙しいので数ヶ月先の予約となります。
Mr.ボンデは車の整備士なので、
私達の車を整備してもらうために、
毎年1回仕事場に乗っていってもらいました。
そのほか、コーヒーフィルターや砂糖が足りなくなると、
借り合ったりする仲でした。
音楽好きのMr.ボンデはギターを習おうとしましたが、
家で練習するのは奥さんに止められました。
大声で歌を歌うのも禁止でした。
そこでMr.ボンデはもうひとつの趣味のスポーツに切り替えて、
一人でテニスクラブに通うようになりました。
007は女王陛下に仕えるのですが、
Mr.ボンデはもちろん奥様に仕えるのです。
|