第108回
中国むけの輸出は好調です
ウルムチを出て視察団のバスは広々とした土地を走ります。
「風と空と太陽と黄色の土以外は何にも無し」という、
単調な道のりが始まると全員が眠気を催してきます。
大半の人が居眠りを始めた頃に、
私には見覚えのある白い風車のスラリとした姿が
道の両脇に続々と現れてきました。
中国人のガイドさんが
「ウルムチの総電力量の20%をこの風車で賄っています」
と言っているように聞こえました。
でも、100万都市の電気の20%ではいくらなんでも多すぎるので、
私が寝ぼけて聞き間違いかしたのかもしれません。
バスが近づくと、その風車はやはり
デンマークのVESTAS社の物が混じっていました。
デンマークでもこんなにたくさんの風車は見たことが有りません。
数えてみると20%ぐらいがデンマーク製で
VESTAS社だけで100機ぐらいも有りました。
ガイドは
「最初はデンマークから輸入して、今は中国で作っています」
と言っていましたからVESTASも大変です。
そしてバスは「西遊記」で読んだことのある火炎山に着きました。
まだ朝と言ってもいい時間なのに気温が36度もあります。
でもバスから出ると暑いことは暑いのですが、
ホアっと何となくゆったりして気持ちが良いのでした。
イスラエルの死海でバスから降りた時も、
気持ち良くてホアっと(アホっと?)したのを思い出しました。
どちらも砂漠で
海抜マイナス何メートルと前もって聞いていたので、
暗示にかかったのかもしれません。
夏はプラス40度、冬はマイナス40度、などというここの気候は
“ゼロ・エネルギー・ハウス(第22回)が最適だ”と思いました。
最低30センチの断熱材が、
夏も冬も此処ほど生きてくる場所はないです。
その設計のシンプルさは素人でも自分で建てられるほどですが、
シンプルゆえの美しいデザインだと思います。
私の友人はまったくの素人ですが、
仕事の合間に一年半あまりかけて
150平米の二階家を自分で建ててしまいました。
その頃の家の値段の半額以下で作れたそうです。
今日全部建ててもらっても土地と土台別で、千七百万円ぐらいです。
友人は土台のコンクリート打ちの穴を
一人でセッセとシャベルで掘ることから始めて、
プロに頼んだのは電気と配管工事だけでした。
それでいて安上がりの上に、耐震、耐寒、耐熱・・・
住み心地が良い家が出来ました。
こういう家は実際に住んでみないと
ピンとくるものではないでしょうが。
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