第105回
9月11日・日本がやったに違いない
旅客機がツイン・タワーにぶつかった直後に、
デンマークのテレビで
色々な国の回教徒へのインタビューを見ました。
「CIAの仕業だ」とか
「イスラエルだ」とか、色々勝手な予想があって
「あれは日本がやったに違いない。
原爆を落とされて日本人はアメリカに恨みを持っているから」
と言うエジプト人もいました。
笑い事ではありません。
回教の国に住んでいる回教徒は、
土地ごとにそれほどに偏った常識を共有しているのです。
政府のプロパガンダにしては独創的過ぎる発想です。
去年エジプトのルクソールに行った時も、
ルクソールで日本人を殺したテロリストは
「イスラエル人だった」とガイドが断定していました。
それでなくても文化の違う国の人々が大挙してよその国に入れば、
理由は何であれ動物的な拒否反応が起きます。
特にイスラム教信者の国は、
異教徒の国から大挙して来た人々は
十羽一からげで侵略者と見なす一群の人々がいます。
自衛隊の長期のイラク駐留は色々大変ですね。
それに生き残ることが難しい砂漠では、
片方に良ければたいていもう一方には悪いのです。
「国」単位の団結感は薄く
「血族」の集団に属している気持が強いのです。
復興を助けても直接利益になる団体だけが喜ぶだけで、
利益を受けない側は勢力が弱まって困ったことだったりします。
喜ぶ側のイラク人もドライですから
「こっちは都合がいいが、なぜ助けてくれるのか分からない。
何の得になるわけでもないのに」とか
「どこかで儲けるのだろう」とか
彼等の常識でそのように思われてしまいそうです。
日本の国としてはアメリカなどとの「付き合い」が大事で、
それ以上の意味は無いのかもしれません。
でも現地の事情をよく勉強しないで
「これだけしてやった」というのでは、
日本が戦争をしていた昔と比べても進歩が少ないです。
「神の恵みで異教徒をうまく利用できた」
などと思われるのは良い方で
すでに「もう何でもいいから早く出て行け」と、
なり始めています。
長引いては、身の危険を冒してイラクの復興を助ける隊員には、
割に合わない仕事になりそうです。
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