前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第49回
甲子園の土・・・でもないのに

ガイドはエルサレムの狭い道の角で
「ここでキリストは(自分の十字架を担がされて疲れ切って)
この壁に手を付いたのです。ほらここに跡が有ります」
などともっともらしい事を言って写真を撮らせました。
でもそれは見てきたような嘘なのです。
実は古い時代の町はほとんど全部
今の地面の下に埋まってしまっているんだそうです。
その現在の狭い狭い通りの両側には、
小さな小さな店がびっしりと並んでいます。
我々の歩いた町並も最近は何度も自爆テロの舞台になりました。

さてエルサレムで小さめのコプトの教会を見学して、
そこから洞穴のような通路を抜けると次の宗派の教会です。
そこには静かに跪いて祈る人達がいました。
そしてその人達と無関係な歌声が建物全体に大きく響いていました。
同じ建物のすぐ隣続きの部屋では別のプログラムが進行中でした。
そこには響く歌声をバック・グラウンドにして
香炉を振り回している人がいました。
そしてこの教会群の鍵は
イスラム教徒が管理しているのだそうです。
なんだか騒然とした教会の塊でした。

町には他にドルーズ教徒、バハイ教徒とか
私達が聞いたことも無い有力な宗教集団もあるそうです。
お互いに自分の神様との契約を守るのが唯一大切な事で
「他の神はあきまへん」と言うんだから大変です。
ユダヤ教も原理主義者達は、
他のユダヤの町とはっきりと違う別の町を
エルサレムの内部につくっています。
町の半数に近いイスラム教徒も
自分達の地域があってそこに住んでいます。
そして彼らの店は住居とは別に
中心部のいくつかの通りに軒を並べています。
イスラム教は金曜、ユダヤ教は土曜、キリスト教は日曜が休日です。
「これはなかなか大変な町だな」という思いを再び深くしました。

この教会の一部に地面の露出している部屋が有りました。
その辺りだけが2000年前と大体同じということでした。
私は、店番をしてくれているケンという男の子に
イスラエルの土を頼まれていました。
私は土なんかどこでもいいと思っていたので、
イスラエルに入ってすぐにそのあたりの土を袋に詰めてありました。
妙なところで真面目さを発揮した妻は、
よせばいいのに人の視線がガイドに集まっている隙に、
教会の土をこそこそと集めました。
ケンはモルモン教徒だということです。


←前回記事へ

2004年9月23日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ