前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第35回
女の子のお友達

ケンは二号店で一人で店番をしていました。
端正な顔で「おっとり」とか「のんびり」とか言う言葉が
ピッタリくる男の子でした。
デンマークは美男美女の多い国なので、
日本から来たばかりの人は驚きます。
でも、何年も住んでいると
その中でも色々だというのが解るようになります。
そして慣れてくると
普通の容貌の人が普通に暮らしている国になります。
海外に旅行すると日常は感じないけれど、
なるほど北欧は他の国とは違うんだなと改めて思い出します。

ケンも私の目には
ちょっと頼りない普通の青年にしか見えませんでした。
ある日レーナという元気な学生アルバイトが話の途中で言いました。
「あの“女の子の友”のケンが・・・。」
その時は意味がよく分からなかったので、私は聞き返しました。
するとケンは友達として
女の子に人気の有るタイプなのだそうです。
そう言われて思い出すと、
ケンの店には野球友達か女の子が来てることが多いのでした。
そのケンがある日、早引けをしたいと言いました。
理由は
「友達のバレリーナが劇場でデビューするから見に行きたい」
でした。
ケンはその頃は恋人がいなかったので、
「ああ、ガール・フレンドできたのかい、いいよ」
と私が答えると
その子はガール・フレンドではないと言います。
では「何でわざわざ、好きでもないバレエを見に行くんだ」
と聞くと、彼女は身寄りがコペンハーゲンに一人もないので
ケンに見に来て欲しい、と言ったんだそうです。

別の日にはよく店で見かける女の子で、
これまたバレリーナかモデルみたいな女の子が来て話していました。
その子は「アパートを借りたいけれどお金が無いから
半分ずつ出して住まないか?」と提案していたんだそうです。
彼女は恋人でも何でもありません。
でも、この話は皿洗いの後片付けの話からこじれて
実現しませんでした。
そう言えば以前レーナも
数学科の男子大学生とアパートを共有していました。
N君が「それは恋人だろ」と言うと、そうではないと言います。
一度皆でレーナのアパートに食事に呼ばれました。
でも、確かにそののんびりした大学生はレーナの恋人ではないし、
以前にそうだったという感じでもありませんでした。


←前回記事へ

2004年9月3日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ