第7回
銀行はダメよ
始める前からまだまだたくさん問題がありましたが、
とにかく店を見つけました。
初めに予定していた歩行者天国から
20メートル程横にはいったところで、5、6段降りた半地下です。
権利金ゼロ。
店の家賃14万円ほどで、
向かいは今の女王も入ったことのある古い学生寮です。
元はフェルトの帽子を作っていたところで
フェルト・ハウスの名が付いていました。
壁にはナポレオンの帽子のような、
両端の反りあがったカラフルな看板が残っています。
その時は帽子は作っていなくて、
フェルト生地を売るだけになっていました。
不動産屋の料金は家賃収入の2ヶ月か3ヶ月分を貸主が払います。
我々は家賃を3ヶ月分前払いするだけでした。
それでも我々の予定では店を始めるのに
予備費もいれて1200万円が必要でした。
一人が400万円づつ持って来て
800万円あれば残りは借りれると計算していました。
パートナーのN君は日本の実家にお金を借りました。
店舗が見つかったので私も銀行にお金を借りに行きました。
今までずっと使ってきた銀行です。
現金は100万円ほどありました。
当時の自宅は買ってから8年程経っていて、
ローンはまだ7割は残っていたのですが、
300万円以上は値上がりもしています。
店を見つける前に300万円の借金を申し込んだんですが
「まあ、とにかく物件を見つけたらいらっしゃい」
ということだったのです。
ところが実際に行ってみると
まったく何にも貸せないというのです。
こんなことになりそうな予感もしていましたが、
貸しそうなことを言っておいてこれではショックが大きいです。
結局は私も急遽両親から初めて借金をしました。
毎月の返済額を決めて、ついでに
「最初の二年間は利子のみでもよろしい」
ということにして最初のうちの返金の負担を軽くしました。
デンマークの法律では誰からの借金であろうと、
利子と支払い方法の明記がないと贈与と見なされるのです。
これに引っかかってしまった友人を何人も知っています。
私たちは運良く新しい弁護士に契約書を書いてもらったので
問題ありませんでした。
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