第3回
店は大赤字
いざ勤めてみると、その店は大赤字を出して経営されていました。
二つの店があるのですが、
それらの粗利益の合計が月500万円ありました。
もうじき終わる機械のリーシングが月40万円弱。
給料が7人で200万円少々。家賃が60万円弱。
ならば200万円残るので大赤字は変です。
初めに写真を受け渡すだけの支店がほかに2つ有って、
それらはもう消滅していましたので、
初めに赤字を膨らませたのはそれだと理解できました。
その外は、後で見せてもらった会計報告では、
店の持ち主のホールディング会社への支払いが
月に200万円とか300万円とかありました。
店の持ち主は丁度その頃に破産した
アイスランドの船会社のオーナー社長で、
お金が幾ら有っても足りない状態でした。
店を任せた人は自分の失敗もあって
数千万円もの借金にやる気を失って辞めていました。
オーナーも自分で写真屋を続ける気はないということでした。
後にオーナー自身はデンマークで
アルコール中毒者のための病院も作りました。
アイスランドにはそういった成功した療養所があるそうで、
世界中から治療にやって来るそうです。
アイスランドには行ってみましたが、
まだ汚れないというか人も住めない自然の中で、
鮭釣りや乗馬ぐらいの娯楽しか思いつかないところでした。
けれどもそのように
なかなか特徴のある事業も展開しているようです。
彼自身もアルコール中毒から立ち直った経歴があるそうです。
さて、プリント用紙や現像薬などの高額な仕入れの品は
店に運び入れる度にチェックで支払われました。
本来は1ヶ月以上のクレジットが貰えるはずなのですが、
コダック社への未払いが溜まりに溜まって
そうしないと卸して貰えなくなっていました。
この借金はオーナーがあとで乗り込んできた時に
コダック社との話し合いで半分にしてもらったそうです。
オーナーの話では支払能力の無い会社に
無制限に品物を卸すのは不法だとのことでした。
従業員は2名は多すぎる感じでしたが、
これは一番忙しい夏に皆が休みをとるので予備が必要なのでした。
学生のアルバイトがいたのですが、
しかたないことですが半人前の仕事しかできません。
それにひきかえ冬はすることも無く
時間潰しに困るほど暇でした。
クリスマスと新年明け以外は夏の半分も仕事がないのでした。
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