第1208回
預金準備率引き上げ
中国人民銀行(中央銀行)は2月半ば、
新たな投資プロジェクトに対する
銀行融資を制限すると発表しています。
世界的な金融危機に対応する金融面での経済刺激策を
段階的に取りやめていきます。
中国人民銀行はリポートの中で
金融システムの状態を
危機対応型から徐々に正常化させていくとして、
現状では適度な金融緩和政策を維持し、
人民元の為替レートの安定を重視していきます。
また、中国人民銀行は2月12日に今月25日付で
市中銀行の預金準備率を0.5%引き上げると発表しました。
人民銀による預金準備率の引き上げは、
今年に入って先月18日以来2回目となります。
人民銀行は先月預金準備率を引き上げたばかりで、
旧正月入りを直前に控えたこの時期に、
これほど早く追加的な引き上げが実施されると予想していた関係者は
ほとんどいませんでした。
前日に発表された1月のインフレ率が
予想外に低い数字となったことも、
この日の預金準備率引き上げに対する意外感をもって
受け止められています。
1月の消費者物価指数(CPI)上昇率(前年同月比1.5%)が
予想以下にとどまっていました。
ですが、銀行融資の急増やインフレ圧力の高まりを背景に、
預金準備率はいずれ引き上げられると予想されてはいました。
中国人民銀行関係者は
昨年の緊急時の政策運営を平常時に戻すもので、
「適度に緩和的な金融政策」の変更を意味するものではないと
強調しています。
今回の預金準備率引き上げによる余剰資金の吸収効果は
約3000億元が見込まれています。
中国人民銀行は預金準備率再引き上げしましたが、
インフレ防止や旧正月明けの流動性吸収を目的としたものとみられ、
これで利上げ観測が弱まったとも見られます。
今後の、利上げの可能性について予想するのは難しくなっており、
現在の経済データは人民銀も容認可能な水準にあるとし、
一定の期間にわたり状況を見守ったうえで、
次の利上げ時期を決定していくでしょう。
株式市場への影響としては、預金準備率の引き上げが
旧正月の直前に発表されたことに対しては、
長期連休を利用し市場への影響を消化させるためとも見られ、
株式市場への衝撃は、想像されるほど大きくならないと見られます。
旧正月明けの2月17日の香港株式市場は、
16日のニューヨーク株式市場のダウ平均が
前日比169.67米ドル高と大きく上げたこともあり、
ハンセン指数は前営業日比1.31%高の20534.01ポイント、
H株指数は1.49%高の11708.34ポイントと上げて引けていました。
今回の預金準備率の引き上げに対して、
株式市場への影響は少ないでしょう。
|