第1089回
エコ
1997年のアジア通貨危機ではタイから始まり、
タイ政府は投機対象になっていた自国通貨のバーツを防衛しきれず、
米ドル連動性から変動相場制に移行し、
バーツの切り下げを行いました。
タイからインドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、
香港も打撃を受けました。
各国は外貨の急速な流出や不良債権の増大に苦しめられ
各国通貨は大幅に下落しました。
アジア通貨危機で利益を手にしたのは
ヘッジファンドなどの投機筋でした。
また、日本の不動産が不況なとき、物件を買取り業績を回復させ、
売り抜けて利益を上げた海外ファンドを
禿げ鷹ファンドとも呼んでいましたが、
破綻した企業を再建させているのですから、
実際は禿げ鷹のイメージとは異なり
社会にとっても必要な機能でもあったのですが。
とにかく自分で事業を行うというよりも
投資を行う事によって
利益が取れそうな商品物件を扱い利益を追求するものです。
その点アジア、日本人は農耕民族ですから
基本的には自分が働いて稼いで利益を出すというスタイルです。
せっかく築いた資産ができたかと思ったら、
それを奪ってしまうのが狩猟民族です。
アジア通貨危機ではタイ自体が成長していたのではなく
海外からの投資資金で浮かれていたところを
ヘッジファンドに突かれて
タイの経済は数週間でダウンしてしまいました。
ニューヨークで働いていた人口の20%が
ファンドなどの投機関連業務をしており狩猟民族でしたが、
さすがここにきて
金融を自由に行うことで社会がおかしくなってきていました。
アラン・グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)前議長は
自らの任期中に
住宅バブルを減速できなかったことを認めています。
いま起きている不況は
実体経済に沿った成長をしようとして
調整している時期のようにも思えます。
例えば今車は売れていませんが、はたして車が本当に必要なのか、
売れることがはたして市民の生活が豊かになっていくのか、
地球のエコのことを考えたら
必要なものだけ循環していけるような世界がいいわけです。
今回の不況はこのことを考えさせる一因になればいいのでしょうが。
現実には実体経済は
落ちるところまで落ちないと落ち着かないでしょうから、
いくところまで行ったら経済は回復します。
ただし経済が戻る時期に対しては見極めは難しいでしょうが。
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