| 第850回シノペック上海石化の2006年6月中間決算から
 シノペック傘下企業で石油精製や石油化学中間製品などの製造を手がけている
 シノペック上海石化は、2006年6月中間決算で
 原油価格の高止まりで川下製品への価格転嫁が進んでいないために
 厳しい業績見通しを発表していました。
 今回は予想通りの数字となっています。
 ・シノペック上海石化(コード:0338)の中間決算より売上高 --- 234億4000万元 前年同期比 7.1%増
 純利益 --- 570万元 前年同期比 99.7%減
 EPS --- 0.001元
 シノペック上海石化に対しては親会社のシノペックが私有化するという報道がでていました。
 この為一時株価でも値上りしましたが、
 シノペックはそのような計画はないと否定しています。
 シノペック上海石化が2006年6月中間決算を発表した後、4香港ドル後半まで上げていた株価も
 3香港ドル後半まで下げてきました。
 普通でしたら純利益が前年同期比で99.7%減という数字を見たなら、利益はほとんどなくなったことと同じですから、
 株価でももっと大きく下げてもいいはずです。
 ですが、そうはなっていません。
 理由は引き続き親会社でのシノペックが私有化観測に対して材料視されていることと、
 このまま長期的に
 業績が大きく下がっていく事が考えられないことです。
 2005年本決算では石油製品の生産量が前年比で10%伸びたにもかかわらず、
 原油価格が高騰したために主要原材料コスト増で
 純利益が50%減となっていました。
 シノペック上海石化は損失補てんとして
 中国政府から6億3300万元を受けていましたが、
 原油高を吸収できず粗利益率でも
 前年の13.8%から6.4%に大きく縮小したために
 減収になっていました。
 今後さらに原油価格が高騰し主要原材料コストが大きく増大したときには
 中国政府は同社に対して
 多額の損失補てんを行なうようになるでしょう。
 つまり、主要産業に対しては中国政府のバックアップが期待できる体制があるのが
 石油関連銘柄です。
 業績だけを考えたなら当然投資ができない企業ですが、中国が成長していくために絶対必要な業種に対しては
 中国政府の手が差し伸べられます。
 シノペック上海石化は香港以外にも上海とニューヨーク市場に上場しています。
 1企業だけの業績だけを気にしていくのではなく、
 中国政府の思惑も加味して考えていく企業が
 シノペック上海石化です。
 株価とPERを見た場合には同社株に対して割高感があり、値下りしてもおかしくはないのですが、
 大きく値下りしていく可能性は今のところ少ないでしょう。
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