第707回
上昇率
中国本土B株市場で現在株価が値上がりしているのは
業績がいい企業より株価の安い企業の株です。
特にA/B株式市場に同時上場している企業で
株価でA/B倍率が大きく離れている企業に
投資資金が入ってきています。
株価が安ければ
手持ち資金が少なくても株数を多く購入することができます。
株価でも安いほうが
少し株価が上がっただけで値上がり率でも高くなります。
20円の株価が倍になれば40円です。
100%の利益率です。
これに対して200円の株価が400円になれば
やはり100%の利益率となります。
同じ100%の値上がりですが、
安い株価が上昇していくのと
高い株価が上昇していくのではスピードが違います。
また100万円の利益を上げている企業が
次の年に利益を200万円にするのは比較的楽ですが、
1兆円の収益を上げている企業が
次の年に2兆円まで収益を伸ばせるかといえば
なかなか難しいでしょう。
1兆円の収益でしたら
次の年は1.5兆円程度まで伸ばしていくことは可能かもしれません。
もし次の年に2兆円まで収益を伸ばせたとしても、
その次の年に4兆円まで収益を伸ばしていくことは
さらに大変なことです。
100万円の収益を上げている企業でしたら
次の年に200万円に
また次の年には400万円まで伸ばしていくことは比較的楽です。
株価でも同じで、安い企業の株価が上昇していく時には
少しの値上がりでも高い上昇率で伸びていくことができます。
ですので今回のA/B株統合相場では
企業の業績には関係がなく
安い株価がその恩恵を受けるとして値上がりしています。
ですが安い株価の企業は
実際は業績でも良い企業はほとんどありません。
もしA/B倍率でも狭まってきて
A株企業と同じ株価まで上がったなら
その近辺がB株企業の高値になる可能性が大きいでしょう。
また2006年1月18日に
上海証券取引所の周勤業・執行副社長は
A株とB株を2006年内に統合させる計画があると発表しましたが
実際年内に行われるかどうかも疑問があります。
中国四大国有銀行の中国建設銀行(コード:0939)は
2005年度内に上場しましたが
まだ三大国有銀行は上場してきていません。
年内に上場したならA/B株統合もあり得るでしょう。
A/B株統合に関して中国の投資家は比較的冷静に見ており
年内に統合されるかどうかに対しては疑問を持っています。
ただB株市場に対しては
A/B倍率の差が大きな企業に投資妙味を持っていることは確かで
そのために株価の安い企業に資金が入ってきており
値上がりしています。
<次回に続く>
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