第693回
野菜価格から
各国で所得格差があっても
商品自体の価格差が非常に大きく離れているとはいえません。
例えば野菜で日本で100円で売られている野菜にしても
中国で野菜を作ったとしても
その百分の一の1円でできるわけではありません。
いくら中国で安く野菜が生産できたとしても
それなりの原価があります。
野菜でも十分の一の10円の原価で生産できたとします。
その野菜を海外に輸出するなら
たとえ中国で10円で野菜が生産できたとしても
その野菜を日本に運んでくる手間賃がかります。
梱包や輸送費人件費などが10円かかれば
その野菜は20円以上で売れないと利益にはなりません。
中国企業でも利益を乗せていかないと
企業利益にはなりませんので利益分を価格に載せて販売します。
10円で生産した野菜でも
利益を20円乗せて輸送費を含めたなら
40円の価格で売れます。
中国企業の利益は10円の原材料に対して
200%の利益を乗せたとしても
日本で売れる商品に対して価格が安ければ売れます。
日本の企業でも40円で仕入れても
日本での通常の販売価格が100円なら
仕入れた中国野菜を80円で売れれば
現在売られている価格より20円も安いですから
消費者にとってはお買い得になります。
日本の企業も40円で仕入れて販売価格が80円なら
利益率では100%となります。
中国の企業が200%利益を出そうが
日本企業でも100%利益が出せれば商いとして十分成り立ちます。
日本の企業にとっても企業利益が最優先ですから
安く購入できて
販売したときに中国産であろうが
商品を買ってくれればいいのです。
また消費者も価格には敏感ですから
日本産にこだわらなければ安い価格の商品を購入していくでしょう。
企業が儲けた金額だけを見比べますと
中国企業が200%の利益であっても金額では20円の利益です。
一方日本企業は100%の利益幅ですが
40円の利益ですから金額だけを見たなら
日本の企業が中国企業の2倍の利益をあげています。
日本と中国では物価の差がありますので、
いくら日本のほうが利益金額では高くても
お金の価値からいえば日本のほうが高いとは一概にいえませんが
お互い利益を授受できる立場にあります。
では日本企業と中国企業の間で
このままの価格で販売が続いていくかといえば
そうはなりません。
時間がたつにつれ商品の価格は変動していきます。
中国でも国民所得が増えていきます。
国民所得が上がっていけば
野菜だけが昔のままの価格でいるわけにもいきません。
中、長期的には中国野菜の値段もそれなりに上がっていきます。
先々の野菜価格でも
中国の値段と日本で売られている値段の差が
縮まっていくようになっていきます。
中国の所得が上がっていくということは
野菜の価格差がなくなっていくことです。
そうなれば日本は前のように安い価格で
野菜を中国から購入できません。
現時点では日本の円が強いですから
まだ安く中国の野菜を買うことができても
中国の通貨、元が値上がりして
日本円とそう変わらないようになっていったなら
状況は一変する可能性はあります。
中国国内でも野菜を高く売れるのであれば
手間隙かけて海外に輸出するより
国内販売のほうが魅力がでてきます。
日本の人口は1.3億人ですが
中国は日本の十倍の13億人です。
中国で生産した野菜は
中国国内でも大幅に消費されるようになっていきます。
そのときには中国から日本に対して
野菜の輸出が大幅に引き下がっていくでしょう。
中国の株式市場は
規模は日本の市場に比べればまだ小さいですが
あと数年で市場規模でも日本に追いつくのではないでしょうか。
野菜価格にしろ中国株式市場の規模にしろ
現時点を見て判断するよりは
近い未来どのように変化していくのかを考えて
投資を検討していかなければなりません。
今現在の状況から過去の経緯を見て
将来どのようになっていくかを予測して
はじめて正しい投資判断ができます。
<次回に続く>
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