第650回
株価と値上がり益
購入した企業の株価が上昇していくということは
投資した企業が収益を上げて成長していくことで
株価の値上がりにつながります。
企業の売り上げ増とともに純利益でも増えていったなら
一株利益も上がっていきますので
株価も値上がりしていくことが期待できます。
ですが、株価が上がっていくうえでこれだけではなく、
ほかの事が起きて株価が上がっていくことも多いものです。
2004年から世界では
原油の需要に供給が追いつかないのではないかということで
原油価格が上昇しました。
確かに原油は需要に供給が追いつきませんでしたが、
原油価格高騰をもたらした原因は
原油先物市場に投資、投機資金が大量に入り
通常の原油価格より1バレル10ドル以上高くなったことです。
石油関連企業では
その恩恵を受けた企業が大幅な増収増益となりました。
特にペトロチャイナ(コード:0857)などは
株価でも2004年の3香港ドル台から
2005年8月には7香港ドルを超えていきましたので
1年間の間に株価でも2倍以上になっています。
2003年決算の一株利益は0.400人民元でしたが
2004年決算では一株利益が0.590人民元と
一株利益でも約1.5倍増えています。
もし原油先物相場に投機資金が入ってこなかったなら
原油価格ももう少し下がっていたでしょうから
収益でも株価でも
もっと低い数字になっていた可能性があります。
原油価格を決めたものは需要と供給の関係もありますが、
投機資金が入ってくるかどうかでも原油価格が動き
企業の業績も変動し
株価もそれをおり込んで高くなっていきました。
また最近では金価格高騰が話題になってきました。
国際金相場の高騰を背景に
中国国内で各地の鉱山の探索や採掘、加工と販売を手がけている
紫金鉱業集団(コード:2899)の株価も
夏以降値上がりしてきました。
紫金砿業集団の株価は8月には1.70香港ドル前後でしたが、
その後株価は値上がりしており
現在の株価は2.70香港ドル前後となっていますので
4ヶ月程度で約1香港ドル程度値上がりしました。
では紫金砿業集団に投資を考えた場合に
投資できるかどうかといえば疑問があります。
紫金砿業集団の2004年決算のEPS(一株利益)は0.080人民元でした。
2.70香港ドルの株価でPERを見ますと約36倍です。
現在の株価には割安感はありません。
むしろ割り高感があります。
金の価格上昇で同社株にも人気がついて
株価が上がっていったという典型的な例です。
今後しばらくは国際金相場の高騰が続けば
同社株も今後もしばらくは値上がりしていく可能性があります。
実際に金価格が上昇していけば株価はもっと上がっていくでしょう。
ですが今年の冬寒波が来て原油不足が深刻になり
金相場に向かっていた投機資金が
再度原油先物市場に戻っていったなら
金価格が下落し
投資家の関心が紫金砿業集団から
石油関連企業に移っていき
人気は離散し株価も下がっていく可能性もあります。
<次回に続く>
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