第564回
B株と中国国内株
現在上海B株企業の取引通貨ははアメリカドル建てです。
ですので元が切り上がりアメリカドルが下がれば
その分上海B株銘柄の株価価値でも安くなります。
また香港の通貨、香港ドルは現在アメリカドルとペッグしており
香港ドルとアメリカドルは為替の上でも固定されています。
ですのでアメリカドルが安くなると香港ドルも安くなっていきます。
B株市場の株価が今まで下がってきたのは
優良企業が少ないということもあるでしょうが、
為替のうえでも不利な面があることが多少影響しています。
ですが、B株企業の多くは
中国本土のA株市場に同時上場しています。
同じ企業がA、B株式市場に上場してるのですから
株価の上でも差が出てきたなら
安いほうの株式市場の株を購入していくことも考えられます。
街中で売っている製品でも
同じ製品を買うのだったら
高く売っている店より安く売っている店で買うほうが
いいに決まっています。
最近B株企業にもある動きが出てきました。
深センB株企業で大手モニターメーカーの
京東方科技集団(BOEテクノロジー、コード:200725)が
香港のH株市場に上場することが
今月の7月5日の株主総会で承認されたと発表しました。
今まで
「B株企業は中国本土のA株市場には上場」している
企業が多くありました。
ですが、香港市場のH株に上場している企業は
今までは1社もありません。
それが今度は香港市場へも上場が決定しそうです。
このことは今後H株、B株、A株への
「垣根がなくなっていく」ということでもあります。
そうなればB株であっても
普通のH株やA株の中国株と同等に考えてもいいことになります。
もともとB株市場は外貨を獲得していくための市場でした。
ですが今後は必要なくなっていく運命ですので
為替問題が片付けば
いずれはA株市場か香港市場へ吸収合併されていくでしょう。
中国の元と同じ通貨で取引されるようになるかは未定ですが、
ひとつの国で二つの通貨で取引されているというのもへんな話です。
中国の通貨元は現在2%程度の切り上げ幅で動きはじめました。
今後は時期を見ながら元を切り上げていくようになるでしょう。
そして最後には「通貨バスケット制」から
完全な「元兌換」へと移行していくようになるでしょう。
香港の香港ドルに対しても現在はアメリカドルとペグしており
為替の上でも固定されています。
香港当局も現在はペグ制は今後も維持していくと発表しています。
ですがまだまだ先の将来の話ですが
香港当局もペグ制を廃止して
変動相場制に切り替えていくようになる可能性が大きいでしょう。
短期投資でしたら
「アメリカドルと元の切り上げでの関係」を
見ていかなければなりませんが、
香港がペグ制を廃止したなら
元と香港ドルの関係を見ていく必要も少なくなります。
また、同じ銘柄の株価が市場が変わったなら
大きく変動するということも考えにくいことです。
長期投資でしたら為替が動くことによって利益が変わることを
ある程度無視して考えてもいいと思います。
それよりは中国の元が
将来どこまで切り上がっていくのかの方が重要です。
香港や中国本土の上場企業の株と考えるよりは
同じ目線で見て投資できる企業であるかどうかに焦点を絞って
購入を考えていくべきでしょう。
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