イラストレーター・小泉鉄造さんが
明かしてくれる、株式投資の虎の巻

第372回
中国人民銀行が基準金利引き上げ

中国人民銀行(中央銀行)は
10月28日に銀行の預金と貸出の基準金利を
29日から引き上げることを発表しました。
貸出金利は1年物の人民元建預金金利が
現行の1.98%から0.27%引上げられて2.25%になり、
また1年物人民元建て貸出金利は
現行の5.31%から0.27%引上げられ5.58%となりました。

中国は今まで貸出金利は引き下げられてきましたが、
今回の貸出金利の引き上げは9年ぶりです。
また、貸出金利に対しては上限を撤廃し、
預金金利については基準金利を超えない範囲で
各銀行が自由に金利を設定できるようにするようにしました。
今回の貸出金利の上限撤廃について
中国人民銀行では、銀行側にとって
貸し出しのリスクに応じた
金利設定ができるようになるとしています。
ただ都市信用社と農村信用社については
上限撤廃を見送っています。
(都市と農村の信用社は、競争環境が整っていないため)
中国政府は昨年後半から景気が過熱している事に対して
警戒感を持っていました。

今年前半には鉄鋼、セメント、アルミ等の業種に対して
行政指導を行ってきました。

一時は過剰投資も止んだのですが、
今年後半に入りまた景気過熱感が台頭してきました。
またインフレ懸念も出てきたために
今回は業種への行政指導ではなく、
銀行金利を引き上げて景気過熱感を冷まそうとしています。
金利引き上げといっても
今回の引き上げは小幅ですから
景気過熱感にブレーキをかけることが目的です。

ではなぜ銀行金利を引き上げると
景気過熱感が収まるのでしょうか。
金利引き上げと株価の関係を見てみます。
銀行金利が引き上がるということは
銀行への預金に魅力が出てきますから
株式市場に回っていたお金も
銀行に預けておこうか、と思う人がでてきます。
銀行にお金が集まって株式市場のお金が少なくなれば、
少なくなった株式市場の株価は下がっていきます。
ですが今の中国の金利は低いですから
あまり魅力がないのも事実ですが。

食料品価格高騰等で中国の消費者物価指数は現在5%程度です。
1年物の預金金利が2.25%になったとしても
その差が埋まるわけではありません。
むしろ預金をして置く事によって
元の価値が目減りしていくことでもあります。

例えば100万円を銀行に預金しておいた時
1年後2.25%の利子が付いたとしても
手取りでは102.25万円です。
ですが物価が年間で5%上がった時には105万円になります。
その差は105万円−102.25万円=マイナス2.75万円となります。
ですから利益を出すとしたなら
5%以上の商品でないと本当はいけません。
例えばマンションでも購入して
年間20%価値が上がっていったときには
物価と比べると120万円−105万円=プラス15万円、となります。

今回の中国政府の処置(目的)は
金利を引き上げたことにより、
景気過熱に対する行政的な処置と考えた方がいいでしょう。
ここで景気が中国政府が考えているGDP伸び率で
9%前後の成長に治まっていく事を期待しています。

<次回に続く>



当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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2004年11月10日(水)

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